make use of の使い方【意味やイメージ、文構造まで解説】
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“make use of” という英語フレーズの使い方についての網羅的な解説記事です。
主に以下の項目についてまとめています。
make use of の使い方
- 1. make use of の読み方や発音
- 2. make use of の意味やニュアンス
- 3. make use of の文法や文構造
- 4. make use of の形容詞を使ったいろんな表現
例文も用いながら解説していますので、ぜひmake useしていただければと思います。
なお、過去に私がイギリス大学院で英語教授法(TESOL)を卒業しており、これまでの学習経験や指導経験、読んだ書籍なども参考にしつつまとめたいと思います。
とはいえ、言語研究者ではないので、最終的に自分の解釈から書いている部分や説明が不足している部分もあると思います。参考情報の1つとしてお読みいただけると幸いです。
それでは行きましょう。
1. make use of の読み方や発音

まずは読み方についてです。
発音記号&カタカタで
- make → /méɪk/ ・メイク
- use → /juːs/・ユース
- of → /əv/・ゥヴ
*useは動詞ではなく名詞のため、ユーズではなくユー「ス」となります。
音声変化した場合の発音
3つの単語を流暢に、1つずつではなく連続的に発音すると音が変わります。
例えばこのような発音になります。
2. make use of の意味やニュアンス

make use ofの日本語(和訳)は?
英語と日本語の意味がそのまま1:1で当てはまるわけではありませんが、強いて日本語に当てはめるとすれば、以下が近いものかと思います。
- …を利用する
- …を活用する
- …を役立てる
単に「使う」というよりは、それに少し+αで意味が乗っている感覚で捉えた方がマッチするものと思います。理由は以下に続きます。
make use ofを4つの英英辞典で引いてみた
結論から書くと、 make use ofは、
といった意味合いが込められている表現のようです。
それぞれの辞書に載っていた説明は、以下の通りです。
(訳と下線は私が書いています。)
(自身の利益や何かを達成するために、何か利用できるものを使うこと)
(特に利益をもたらすようなある特定の目的のために、ある人や物事を使うこと)
(特に利益を得るために、ある人や物事を使うこと)
The American Heritage Dictionary
(ある目的のために使うこと)
上記のように、「何か目的や利益のために使う」という部分が4つともに共通しています。
このような意味合いが込められているため、make use ofは、日本語では「利用する」「活用する」「役立てる」という意味に近くなるのものと思います。
これら3つの「使う」は、基本的に「目的の達成」が裏の前提となっていると考えられるためです。参考にそれぞれの意味も載せておきます。
- 利用する(役立つようにうまく使うこと)
- 活用する(物や人の機能・能力を十分に生かして用いること)
- 役立てる(役に立つようにすること)
(出展元:goo辞書内のデジタル大辞泉)
make use of のイメージは?(useと何が違う?)
ではなぜmake use ofという表現で、このような「目的を想定した」ニュアンスが出るのでしょうか。
私は「ネイティブがmakeに抱いているイメージ」が大きく関わっているのではないかと思います。
makeのイメージ
現慶応大学教授の田中氏(2013, p.231)の著書によると、
とされています。
例えば、上記が表している内容は、目の前のものにコネコネと力を加えていき、自分で1つの形のあるケーキを作り出していくようなイメージです。
(ちなみにこのようなイメージがあるため、使役のmakeは、haveやletとは違い「手を加えなんとかしてさせる」という強いる感じのニュアンスが濃くなります。)
make use of のイメージ
このようなmakeのイメージから、
と考えることができます。
ただシンプルに「use A」と言うよりも、「自分が意図したAの用途を、主語が自ら形にして生み出していっているような感じ」を受けます。
そういったところから、「何か目的を達成するために使う」という意味になるのではないかと考えられます。
make use of の例文
では具体的に、例文を見てみましょう。
再度LONGMANとmacmillan dictionaryからの出典です。
*vast experience = 幅広い経験
確かにこの場合は、「何かの目的のために彼女の経験を使う」という感じがあり、普通にuseよりもmake use ofの方がしっくり来る感があります。
*singing talent = 歌の才能
この場合も同じですね。「才能をいかしてもっとメリットを得たらいいのに」というニュアンスが感じられます。
3. make use of の文法や文構造

ここからは、make use ofを文法的な視点で見て行きましょう。
make use of の品詞は?

上記の通りです。
今回useは動詞ではなく「名詞」ということを押さえておきましょう。また「of A」はuseを修飾しており、「use of A」の部分だけだと「Aの使用」といった意味合いになります。
make use of の文構造は?
文構造は以下の2パターンで捉えることができます。
パターン1(各単語バラバラで)

このパターンだと、文型としては「SVO」となります。SVOの後に、Oを修飾するof句が続いているという構造です。
パターン2(ひとかたまりで)
make use of を1つの「句動詞」として見ることもできます。

この場合も、全体としてはSVOとみなすことができますね。
make use of の受動態は?
上記のように大きく2つの文構造パターンとして見ることができるため、受動態の形も2つ考えられます。
以下の3ステップに従って、受動態文を作ってみたいと思います。
受動態文の作り方3ステップ
- ① 能動文のO → Sに
- ② 能動文のV → be + ppに
- ③ 他の残りの部分はそのままお尻につける
パターン1の受動態

パターン2の受動態

この場合は、「句動詞をあくまで1つの動詞」と見なすことが大事です。ですが、同じように3ステップ通りに作れば完成します。
受動態の例文
おそらくmake use of を受動態で使うことはそこまで多くはないと思いますが、weblioの検索結果で出たものもあったので記載しておきます。
(下線は私が施しています。)
Preferably, use is made of a hollow tappet rod.
(中空のタペットロッドの使用が好ましい。)
His experience in the overseas trading operation is now made use of in the current job.
(この海外貿易業務の経験が、今の業務にいかされている。)
主語S’が「His 〜 operation」と長いですが、基本の構造は先ほどの図と同じです。
4. make use of の形容詞を使ったいろんな表現

「make use of」という表現をこのまま使う以外にも、いくらかバリエーションがあるので見て行きましょう。
「名詞useを形容詞で修飾する」ことで+αの意味を付け加えることができます。
例えば以下です。
make good use of A
直訳すると「Aの良い使用を作り出す」となります。
そこから、「うまく使う」や「有意義に使う」などよりポジティブな意味が加わります。
I hope you’ve made good use of your time.
その他にも色々あります
- make better use of → より良く使う
- make bad use of → 悪用する
- make more use of → より使う
- make free use of → 自由に使う
- make full use of → フルに使う(駆使する)
- make effective use of → 効果的に使う
- make frequent use of → 頻繁に使う
- make constant use of → 常に使う
- make extensive use of → 多く使う
などなどです。
もっとある!コロケーションの調べ方
上記以外にも、まだあると思います。
例えば「free use」(自由な利用)のように、「形容詞+use」だけで見たときに意味的にもおかしくならない形容詞であれば、幅広く適用してもOKな表現となる場合が多いです。
このような、複数の自然な単語の組み合わせのことを「コロケーション」と言います。
コロケーション用の辞書で「use」を検索してみましょう。useがどんな形容詞とよく一緒に使われるかが分かり、他のmake use ofの表現も作ることができます。具体的な方法は、以下が参考になります。
コロケーションの調べ方【おすすめの無料サイトを3つ紹介】
英語を書いたり話したりする際、ナチュラルな単語のどうしの組み合わせであるコロケーションはどうやって調べれば良いのでしょうか?今回はコロケーションを調べるのに便利なおすすめの無料サイトを3つ紹介。調べ方や利用法も一緒に説明しています。今すぐ利用したい方は必見。
よければ参考ください。
以上、今回はmake use of についてでした。
おわり
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【参考文献・サイト】
Houghton Mifflin Harcourt. The American Heritage dictionary of the English Language. [Online] [Accessed 14 June 2020]. Available from: https://ahdictionary.com
NTTレゾナント. 『goo辞書』. [Online] [Accessed 14 June 2020]. Available from: https://dictionary.goo.ne.jp/jn/
Macmillan Education. macmillan dictionary. [Online] [Accessed 14 June 2020]. Available from: https://www.macmillandictionary.com
Oxford University Press. Oxford Learner’s Dictionaries. [Online] [Accessed 14 June 2020]. Available from: https://www.oxfordlearnersdictionaries.com
Pearson. Longman Dictionary of Contemporary English Online. [Online] [Accessed 14 June 2020]. Available from: https://www.ldoceonline.com
田中茂範. 2013. 『愛蔵版 表現英文法』 東京:コスモピア.