単語帳を使った勉強法【基本的なやり方〜テクニックまで】
Illustration by NinaWave from Ouch!
- どうやって単語を学習したらいいのか分からない…
- 数も多くて大変だし…
- 単語帳のうまい進め方や勉強法を知りたい。
今回はこのような内容についてです。
大変に思える単語の暗記も、一旦やり方を体得できれば、安定的に語彙を増やしていくことができます。
本記事では、その方法について見ていきましょう。
もくじ
✔︎ 筆者について:英国大学院で英語教授法(TESOL)を学んだ後、個別指導をメインに携わっています。現在、指導歴は6年ほどです。
それでは見て行きましょう。
1. 前提編:単語帳を進める上でまず大事なこと

それは「回数をこなすこと」です。
単語を覚えていくにあたり、まずはこの前提がとても大切です。
単語を「1回で」覚えようとしていませんか?
1つ例をあげます。
仮に以下のように単語帳をはじめた場合…
1周する4ヶ月後くらいには、すべての単語が頭に入っているようにしよう!
さて、うまく学習は進みそうでしょうか?
おそらく、なかなか難しいのではないかと思います。
というのも、やったその日は覚えていても、後日には、必ずと言っていいほどほとんどを忘れてしまっているためです。
単語帳をはじめて数日が経ち、ふと前にやった範囲を見返してみたときに、この事実に気づかされます。
よくある挫折パターンの1つではないかと思います。
「1回で完璧」は無い。でもそれでOK!
いくら集中し、いくら「完璧に覚えよう!」と意識したとしても、1度触れただけで単語を覚えることはできません。
ですが、それは自然なことです。
単語学習とは本来そういうもので、忘れてしまってもまったく落ち込む必要はありません。
大切なのは「多くは忘れてしまう」という前提で、学習を進めていくことです。
何回も触れることで積み上がるもの
「じゃあやってもムダなの?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
単語帳は、このような感覚を日々積み上げていくことが大切で、十分な反復の末にようやく「この単語はこの意味だ!」と確信をもって答えられるようになるものです。
高い回転率を重視
たとえば、以下のように進めていくイメージです。
- 1冊の単語帳について、1日100-200語ずつなどテンポよく進めていく
- 本の最後まで行ったらすかさず2周目へ
- 本の最後まで行ったらすかさず3周目へ
- 本の最後まで行ったらすかさず4周目へ
- 本の最後まで行ったらすかさず5周目へ
- 本の最後まで行ったらすかさず6周目へ
- 本の最後まで行ったらすかさず7周目へ
- (上記の繰り返し)
1日20語ずつなどではなく、わりと広めの範囲をテンポよく回していきます。
繰り返しになりますが、1回で完璧に覚える必要はありません。特に1周目などは、多くを忘れてしまう前提で進めていきます。
それでも何周も回していくことで、記憶の線を少しずつ太くしていき、最終的に頭の中に完璧に入れていくようにします。
学習ペース(※参考値)
仮に、3,000語の単語帳を使った場合。
- 1日100語ずつ進める → 約1ヶ月で1周
- 1日200語ずつ進める → 約半月で1周
上記のようなイメージです。
ただ、具体的な数字についてはこれが唯一の正解というわけではありません。状況によって変えても大丈夫です。
たとえば、1冊3,000語を一気に回していくのは、負担に感じるかもしれません。
このように調整して大丈夫です。
いずれにせよポイントは、「リズムよくこなして復習の回数を稼ぐ」ことです。
まずはこれを前提にしていきましょう。
ではより具体的に、1つ1つの単語をどのように覚えていけば良いのでしょうか?
次はこれについても見ていきましょう。
2. 基本編:単語を覚える際にやるべき4つのこと

次の4つです。
- その①:まずは意味の暗記に注力
- その②:発音もしながら覚える
- その③:知識を「取り出す」意識で
- その④:学習の機会を一度に固めない
その①:まずは意味の暗記に注力
単語帳には、以下のようにいろいろな情報が載っています。
- ① 英単語(見出し語)
- ② その単語の意味
- ③ その単語を使った例文・フレーズ
- ④ その単語の文法的な情報
- ⑤ 派生語、類義語、反意語 など
これらのうち、まずは ① と ② を中心に見ていくようにしましょう。
①英単語を見て → ②その意味(特に1つ目 or 太字などで記載されている主要なもの)を答えられるようにしていきます。
他の情報も有益ではあるのですが、はじめからすべて網羅しようとすると、ページ内のいろんな所に目をやらなければいけなかったり、時間がかかったりと、負担にもなってしまいます。
特にはじめは「シンプルさからくる取り組みやすさ」も大事な部分です。
学習のペースをつくりつつ、回数をこなすことをまずは意識しましょう。
余裕が出てきた段階で、少しずつ他の情報にも広げていけばOKです。
その②:発音もしながら覚える
単語を覚えるにあたり、あまり関係がないように思えるかもしれませんが、実は発音も大切です。
理由は2つあります。
理由その1
1つは、実戦の会話が「音」を介したやりとりになるためです。
単語の発音を不正確なもので覚えてしまった場合、以下のような問題が起きる可能性があります。
- リスニング面 → どの単語が言われたのか、耳にしてもすぐにピンとこない
- スピーキング面 → 自分では正しく言っているつもりでも、相手になかなか通じない
単語が誤った音で頭にストックされていると、このようなことが起きやすくなってしまいます。
そのため単語帳の段階から、それぞれの語を正しい音で身につけておくことが欠かせません。
理由その2
2つ目は、音を重視することが、実は単語を記憶する上でも有利に働くと考えられるためです。
人は何か覚えたい情報があるときに、それを「音的に何度も発音しながら長期記憶へ送る」という脳内の仕組みを持つと言われています。
実際に声に出すこともあれば、頭の中だけで発音する場合もありますが、このように「音」として何度も繰り返すことを「リハーサル」と呼びます。
このリハーサルは、語彙などの新しい言語情報を覚えるときにも、重要な役割を果たすと考えられています。
「目にした単語をスムーズに発音(リハーサル)できる」ことは、単語の記憶を進める際にも重要になると考えられます。[1]
ということで、積極的に発音も練習しましょう。
やることは以下です。
- 単語帳に付属の音源や、発音記号(IPA)も使って正しい音をチェックする
- 単語を見て、自分でも正確かつスムーズに言えるよう繰り返し発音する
上記のようなことを、一緒に行っていきましょう。
英語の発音に慣れないうちは、多少たどだどしくなってしまうかもしれませんが、何度も繰り返しているとスムーズにできるようになっていきます。
(このあたりは、楽器の演奏やスポーツの練習と同じ感覚です。)
負荷が高ければ調節を
もし単語帳のペースが極端に落ちてしまうようであれば、うまく調節をしましょう。
たとえば、発音を単語帳とは別立てでまとめて学習し、それを少しずつ単語帳の学習にも取り入れていく、というのでも良いと思います。
また、はじめの数周は意味を覚えることのみに集中し、意味を覚えられてきたら発音にも注力するといったやり方でも良いです。
発音の参考サイト
以下のような発音のサイトなども参考にしながら、単語と一緒に音も身につけていきましょう。
その③:知識を「取り出す」意識で
知識は入れるより「取り出す」意識が大切です。
例えば、単語帳で「welfare」という語があったとします。
以下の2つの覚え方のうち、どちらの方がより記憶に効果的でしょうか?
パターン1
[ welfare = 福祉] のように、語と意味の両方を同時に見て覚える。
パターン2
[ welfare = ?? ] のように、覚えたい方の情報は見ずに、自力でそれを思い出そうとしながら覚える。
さてどうでしょう?
実は、2つ目のパターンのように、「自分が覚えているかどうかをテストしていく」という形をとった方が、より記憶の強化につながりやすいと学術的に言われています。
最初から答えが与えられただそれを眺めるだけよりも、自分の記憶を辿りながらそれが何だったかを思い出そうとする方が、記憶の定着には効果的ということです。
このような現象は、「テスト効果」と呼ばれています。[2]
ちょっとしたワンクッションを設ける
上記を踏まえ、英単語とその意味(答え)を同時に見るのではなく、自分で正解を考えるようにしましょう。
ほんの数秒でも、過去の自分の記憶から情報を取り出そう(思い出そう)とチャレンジしてから、答えをチェックするようにします。
このように適度なストレスかけながら学習していきましょう。
なお、はじめは正答率が低くなると思いますが、それで大丈夫です。
答えをチェックして次の復習回に備えます。
復習回数と記憶の定着イメージ
▽ 復習回数 → 少: 単語を見ても「全くわからない…」という状態 ▽ 復習回数 → 中: 単語を見て「あ〜なんか思い出せそう...」という感覚はあるが、やはりわからない状態 ▽ 復習回数 → 多: 単語を見たら「この意味だ!」とすぐに答えられる状態
上記のように、復習の回数を重ねる中で、徐々にレベルアップしていきましょう。
その④:復習を一度に固めない
また、人の記憶については以下のようなことも言われています。
それは、ある項目についてそれを学んだ直後に復習するよりも、ある程度の時間をおきつつ何度も復習した方が記憶の定着につながりやすい、ということです。
これは「分散効果」と呼ばれます。
語彙習得について研究されている中田教授(2019)によると、この効果は単語の学習でも認められているとのこと。
一回学んだ直後に連続して復習するよりも、数分間置いたり日をまたぎつつ何度も復習するようにした方が、より効果的であるとしています。
特に1日うちに何度も同じ範囲を復習をする場合は、少し意識するようにしましょう。
※ なお「テスト効果」や「分散効果」については、これまでの研究結果なども踏まえ、以下の書籍で詳しく解説されています。興味のある方はぜひご覧になってみてください。
3. 補助編:記憶を助けるための8つのテクニック

以上、ここまでは単語帳を進めるときの前提や基本動作的なものについて見てきました。
次は、記憶をサポートするためのテクニックについて見ていきましょう。
暗記しづらい語などにちょっとした彩りをくわえ、より覚えやするための方法です。8つほど見ていきたいと思います。
(※ なお、以下に挙げるのはあくまで補助的なものです。
テクニックが使えない単語もありますし、必ずすべての単語で行う必要もありません。状況に応じてスパイス的に取り入れてみましょう!)
その①:日本語でどう使われているかを考えてみる
英単語の中には、日本語のカタカナとして存在するものがあります。
こういった語は、普段それが日本語でどのように使われているかを考えると、覚えやすい場合があります。
具体例
たとえば、shortcut (近道)という英単語がそうです。
日本語の「ショートカット」も、同じような意味合いで使われることが多いでしょう。
他にも、fake (偽の・偽造の)という語があります。
これも「フェイクニュース」(虚偽の情報にもとづくニュース)という語があるので、比較的覚えやすいと思います。
laboratory (実験室)も、日本語で「ラボ」で使われています。
※ ただし、「英単語の意味」と「カタカナの意味」が一致していないケースなどもあるのでご注意ください。
たとえば、print は日本語でいう「プリント」ではなく「印刷」「活字」「跡」などといった意味になります。配布資料としてのプリントは handout です。
その②:ヴィジュアルイメージを使う
より印象づけやすくするための工夫です。
英単語が表す内容のイラストや図を描いてみたり、その語にまつわる画像を見て印象づけします。
具体例
試しに、approve(~を承認する)という語をGoogle検索してみます。
検索すると、上に「画像」というボタンがあるのでそこを押してみましょう。
すると以下のようにいろいろ結果が出てきました。
単語の意味と直接結びつかないものもあったりしますが、自分なりに良いと思うものを選んで、単語のイメージを膨らませましょう。
(私としては、ハンコや ✔︎ マークなどがしっくりきます。)
その③:自分の動作と結びつける
身体の動きをつけることも、単語を印象づける際の助けになることがあります。
具体例
先ほどの approve(承認する)であれば、/ əprúːv / と発音しつつ、目の前の書類にハンコを押すような動作をしてみても良いかもしれません。
また、ore(鉱石)という語であれば、/ ˈɔɚ / と発音しつつ、手の中に硬いものを握っているような仕草をしてみても良いでしょう。
動作も意味を思い出す手がかりの1つとして、利用していきましょう。
その④:自分や自分の身のまわりのものと結びつける
自分の生活や、身の回りに実際にあるものと結びつけることで、よりその単語への現実味を増しながら覚えていく方法です。
具体例
たとえば、nephew(甥)や niece(姪)という語は、もしいれば自分の甥っ子や姪っ子のことを具体的に思い浮かべながら覚えても良いかもしれません。
また、generous(気前のよい)や selfish(わがままな・自己中心的な)といった人の性格に関する語があります。
自分の知り合いや友人にそういうタイプがいれば、その人のことをイメージしつつ覚えるのも良いでしょう。
その⑤:単語の成り立ちを見てみる
また、単語の語源や、語内部の各パーツに注目してみると、覚える際のヒントになることがあります。
具体例
たとえば、renew, foresee, unbelievable という語は、それぞれ以下のように考えることができます。
~を更新するfore(前/先を)+ see(見る) ⇨
〜を予知するun(ない)+ believ(信じる)+ able(できる) ⇨
信じられない上記のように、分解された各パーツから、単語の意味を予想することができます。
調べる際は、[ renew 語源 ] などのワードでGoogle検索してみましょう。いくつかの解説を参考にしてみると良いです。
その⑥:文法的に分析してみる
特に、複数の語から成る「フレーズ」や「定型表現」などを覚えるときに役立ちます。
機械的に丸ごと暗記するよりも、なぜそのような意味になるのかを納得できたり、それによってしばしば覚えやすくなります。
以下、文法的な視点でいくつか分析してみます。
具体例1:think highly of ~
think of ~ は「~のことを考える」という意味です。
これに highly「高く」という副詞が加わっており、その結果「~のことを尊重する・高く評価する」という意味になっています。
具体例2:put emphasis on ~
put ~ は「~を置く」で、emphasis は「強調」という意味の名詞です。そこから put emphasis で「強調を置く」となります。
ではそれをどこに置くかと言うと、on ~「~の上に」となります。
そこから全体で、「~の上に強調を置く」⇨「~を強調する」という意味になります。
具体例3:at a time
at はある時点を指すときに使える前置詞です。
一方、a time は「ある1つの時」のことを表しています。そこから、全体で「一度に」という意味になります。
なお、似た表現で at times というのもあります。
at + times(複数の時)ということなので、全体で「時々」という意味になります。
具体例4:attach A to B
このような、動詞の後ろに2つ穴(A/B)が空いているような表現も、文法的に考えることができます。
まず attach は他動詞で、attach A で「Aを取りつける」という意味をつくります。
では何に取りつけるのか?ですが、それを示しているのが to B です(前置詞 to は「何かに到達する」ということを表せます)。
そこから全体で「AをBに取りつける」という意味になります。
ちなみに、上記と同じような考え方ができる表現としては以下があります。
apply A to B「AをBに応用する、利用する」
devote A to B「AをBに捧げる、専念させる」 など
同じパターンのものは、このようにまとめて覚えておくと便利です。
その⑦:よくわからない日本語は調べる
時に、記載されている意味(日本語)があまりイメージできない、ということがあります。
このようなときは、少し日本語も調べるようにしてみましょう。
具体例1:illustrate
この語はよく「〜を例証する」といった訳で載っています。
漢字から何となく想像はつくと思いますが、普段「例証」という日本語を使うことも少ないため、それがどんな事柄を表すのか、ややつかみずらい場合もあるのではないでしょうか。
そこで [ 例証 とは ] [ 例証 意味 ] などのワードで Google検索してみましょう。すると以下のような情報が見つかったりします。
例をあげて証明すること。
(goo 辞書より引用)
つまり「~を例証する」⇨「〜を例をあげて証明する」ことだとわかります。
ちょっとした違いですが、日本語がほぐれた分、意味や使い方をよりイメージしやすいのではないかと思います。
あわせて単語帳の例文でも確認してみると、より理解が深まるでしょう。
具体例2:census
これは 「国勢調査」という意味です。
この語を聞いたことがない人は少ないかもしれませんが、「そういえばどんな調査だっけ?」と具体的にイメージできない場合もあるかもしれません。
このようなときは、[ 国勢調査 わかりやすく ] などでGoogle検索してみましょう。すると以下のような情報が見つかったりします。
どのような調査?
– 国勢調査は、統計法という法律に基づいて、5年に一度実施する国の最も重要な統計調査です。
何を調べるの?
– 男女の別、出生の年月、就業状態、従業地または通学地、世帯員の数、住居の種類、住宅の建て方などの項目について調べます。(東京都の統計 より一部引用)
国や地域で若干調査の内容は異なるかもしれませんが、おおよそどんな調査かをイメージできるのではないかと思います。
他にも、comprehensive(包括的な)や suppress(〜を鎮圧する)など、具体的にイメージの湧かない日本語があれば調べてみましょう。
その⑧:多義語はコアをつかむ
1つの単語に、複数の日本語訳が載っている場合。
一見たくさんの意味があるように見え、覚えるのが大変に感じられることがあります。
そのようなときは「それらに共通するコアな意味」を考えてみましょう。
具体例:miss
この語について、たとえば以下のように複数の意味が載っているとします。
〜を外す
〜を免れる
〜に会いそこなう
〜に乗りそこなう
〜がいなくて寂しい などこれらに共通している意味は何でしょうか?
私なりの表現ですが、なんとなく、何かに【ミートしない】といった感じがあるのではないかと思います。
このような大元のイメージを1つ押さえておくと、あとは文脈に応じてそれぞれの意味を連想しやすくなります。以下のとおりです。
〜を外す何か悪いものにミートしない ⇨
〜を免れる会うべき人にミートしない ⇨
〜に会いそこなう乗り物にミートしない ⇨
〜に乗りそこなういてほしい人にミートしない ⇨
〜がいなくて寂しいこのように、知識の整理もしやすくなるかと思います。
コアを見つける方法
1つは上記のように、複数の日本語の意味を眺めてみて、そこから共通する特徴やイメージを見出すやり方です。ぜひゲーム感覚で取り組んでみましょう。
またコアについて掲載している英和辞書などもあります。
以下は weblioというサイト内の『Eゲイト英和辞典』で、miss を引いています。

(先ほどの「ミートしない」と表現は異なりますが、おおよそ似たようなイメージかと思います。)
すべての単語で記載されているわけではありませんが、こういった情報もヒントにしていきましょう。
4. 発展編:知識をさらに発展させていく工夫

さいごは発展編です。
ここまでのやり方で、単語の意味がある程度定着してきたら、以下のようなことも意識していきましょう。
単語の「音」から意味を答えられるように
こちらは、特にリスにニングを見据えた対策です。
リスニングでは視覚情報がなく、「音のみ」でどんな単語が聞こえたのかを特定する必要があります。
単語帳でも、文字から意味を答えられるようになったら、今度は音からも答えられるように練習していきましょう。
手順
- ▽ 英単語の音を再生して聞く ※単語帳は見ない
- ▽ どんな意味か思い浮かべる
- ▽ 単語帳を見て答えを確認
上記のとおりです。
(音を再生できる単語帳アプリなどを使うと、取り組みやすいと思います。)
やってみると、意外にどの単語を耳にしたのか認識できないものがあることに気づきます。
その場合は、もう一度音をよく聞き、自分でもそっくり発音しましょう。それにより、単語とその正しい音を頭の中でリンクさせていきましょう。
意味を思い浮かべるスピードも上げていく
実戦のコミュニケーションではスピードが重要です。
単語を見たり聞いたときに、じっくり考えてから意味がわかるようでは太刀打ちできません。
ある程度、正確に単語の意味を答えられるようになってきたら、スピードにもこだわって取り組んでいきましょう。できるだけ、単語を見た(or 聞いた)瞬間に、思い浮かぶよう練習していきます。
また、実際に英語の使用場面に近くなるよう、「日本語」というよりは、その単語が表す「概念」や「イメージ」がパッと思い浮かぶようにも意識していきましょう。
各単語の知識の幅を広げていく
各単語について「単語+その意味」がある程度定着してきたら、少しずつ他の情報にも目を向けるようにしましょう。
たとえば、単語と一緒に載っている、派生語、類義語、反意語 などです。
また、例文やフレーズも見ることで、その単語がどんな他の語と組み合わせて使われるかや、どんな語順で使われるかといった文法的な面についても理解することができます。
特に自分で英文を話したり、書いたりする際に必要になる知識です。ぜひ有効活用していきましょう。
似ている単語は区別できるように
似ている単語どうしは、2つを取り違えたり、間違やすいものです。
それぞれの単語がある程度定着してきたら、両者を比較しながら区別して覚えていきましょう。
具体例:principle vs. principal
両者は見た目がよく似ています。
が、意味はまったく異なります。
(principle = 原理・原則、principal = 主要な・学長 など)
スペルに注目してみましょう。
すると、-ple と -pal の部分が違いますので、ここが両者を区別する際のポイントになります。
vs. principal = 主要な・学長 などとメモしておきます。毎回 principle を学習する際に見比べるようにし、知識を整理します。(-palに線を引くなどして、違いを際立たせておくと良いです。)
他例:royal vs. loyal、literal vs. literate、complement vs. compliment など
実際のコミュニケーションで触れる
1つの単語帳を何度も回していると、少しずつ覚えているものが増えていき嬉しいものです。
それに加え、覚えた単語の知識を実戦でも使うことができれば、さらに学んだ甲斐を感じられると思います。
単語帳の中の単語がある程度定着してきたら、実際の英文にも積極的に触れていきましょう。
スピーキングであれば、学んだ単語を実際に使ってみて、相手に伝わったかどうかを見てみるのも良いです。
実際のコミュニケーションで何度も触れていると、記憶がさらに定着していきますし、「この単語はこうやって使うのか!」という新たな学びにつながったりもします。
難易度は慎重に調節しつつも、少しずつ学んだ単語の知識を実戦で使っていくようにしましょう。
以上、今回は単語帳の使い方についてでした!
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【脚注】
[1] リハーサルについては門田(2015)、竹内(2000)などを参照。
[2] テスト効果についてはKarpicke(2017)、中田(2019)などを参照。
【参考文献】
All in one basic. [Online] [Accessed 28 October 2022]. Available from: https://basic.linkage-club.com/hatuonkigo
goo 辞書. [Online] [Accessed 28 October 2022]. Available from: https://dictionary.goo.ne.jp/
Karpicke, J. D. 2017. Retrieval-based learning: a decade of progress. In J. T. Wixted, eds. Cognitive psychology of memory, Vol. 2 of learning and memory: a comprehensive reference (J. H. Byrne, Series Ed.) . Oxford: Academic Press, pp. 487-514.
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英語の会. [Online] [Accessed 28 October 2022]. Available from: https://eigonokai.jp/phonetics/0-発音記号3時間マスター/
門田修平. 2015. 『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』 東京:コスモピア.
竹内理. 2000. 『認知的アプローチによる外国語教育』 東京:松柏社.
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中田達也. 2019. 『英語学習の科学』 東京:研究社.