役に立たない英語学習blog awareness without action will be useless

リピーティングが難しくてできないときの対処法

リピーティング

リピーティングやってみたけど、難しくてできない…
こんなのとても覚えられないし… 本当にできるようになるの?
どうしたらいい?

今回は、このような悩みをお持ちの方向けです。

リピーティングは、よく取り上げられる学習法の1つです。

いろんな場面で「効果的!」と聞くからこそ、いざやってできなければとても焦ってしまったり、「自分はセンスがないのでは?」と自信を失ってしまったりしてしまいます。

ですが、そもそもリピーティングは、学習者に対する要求度が非常に高く、難しい練習法の1つです。練習に取り組む際に、いかに難易度をうまく調節するかが、とても重要です。

今回はリピーティングをうまくこなせるよう、ヒントになるような内容を書いていきたいと思います。

ではいきましょう。

リピーティングができないときの対処法

リピーティングができないときの対処法

  • ①:スクリプトレベルを調整する
  • ②:リピートする英語の長さ2秒以下に抑える
  • ③:2秒以上のリピート時は、意味内容までしっかり想起
  • ④:リピーティング以外の練習法も検討する

リピーティングがなかなか難しくてできないという場合は、上記の4つのポイントについて検討してみましょう。

詳しく順に解説していきます。

①:スクリプトレベルを調整する

使うスクリプトの単語・文法といった言語レベルが、自分に合っているかどうかをチェックし、必要に応じて変えるようにしましょう。

例えば、そもそも「文字で読んでもすぐ内容が理解できないもの」を使ってしまっているような場合は、なかなか練習はうまくいきません。

リピーティングは音を基本ベースとして行われますが、文字で読んでもわからないものは、音を聞いても瞬時に処理することが難しいからです。

リピーティングは新しい知識を覚えるというよりは、すでに持っている知識を使えるようにしていくための練習です。「分からないものがスクリプトにない、文字で見たらすぐ理解できる」というのが練習の大前提になります。

いちいち辞書や文法書を引く必要がなく、文字で読んだら難なく内容がつかめる、と言うスクリプトを使っていきましょう。

②:リピートする英語の長さを2秒以下に抑える

一度に聴いてリピートする英語の長さを短くする、というのも非常に有効です。これにより、リピーティング時の認知的な負荷を大幅に下げることができます。

具体的には、「2秒以内に設定する」というのがポイントです。

脳内で情報の処理と保持を司っている「ワーキングメモリ」については研究が進んでおり、それによると、人が聴いたものを音として一時的に脳内に保持できるのは「約2秒間」と言われています(Baddeley, 2002)。

そのため、もし2秒を大きく超える長さの英語をリピートする場合、英語を聴き終わってリピートしようとする頃には、はじめの方の音声情報を忘れてしまってうまく言うことができない、ということが起こりやすくなってしまいます。

逆に2秒以内のものであれば、いざリピートしようとする時でも、まだ比較的音声情報が頭の中に残っているため、それを手掛かりに言いやすくなります。

まずは、このような短い範囲から始めていきましょう。

徐々にフォーカスを音声 → 意味内容に

そしてある程度慣れてきたら、英語を聴いている際「音声面」だけではなく「意味内容」も思い浮かべるようにしていくと効果的です。

それによりリピートする際、脳内に保持した「音声」的な情報だけではなく、「意味」情報も手掛かりにしつつ復唱をしやすくなっていきます。

また、このような過程を通して、語彙・文法・意味処理といった脳内処理にも取り組むことにもなるので、関連する処理スキルも鍛えられていきます。

③:2秒以上のリピート時は、意味内容までしっかり想起

もし②が問題なくできるようになったら、2秒以上の長いリピーティングにチャレンジしてみるのも良いと思います。

ただこの段階での重要なポイントは、モデル音を聴いているときに「いかに瞬時に意味内容まで想起できるかどうか」ということです。

意味内容を利用することついては②でも少し触れましたが、この③の段階ではより一層それが要求されます。

先ほども書いたように、人は約2秒分の音しか覚えておくことができないため、2秒以上の英語になると、それを音のまま脳内に保持してリピートすることがかなり難しくなります。

リピートを成功させるには、頭の中に単に「音」としてだけではなく、そこから「意味情報」に変換し脳内に保持しておく必要があります。

そこまでできると、頭の中につくりあげた「意味イメージ」も手がかりにしつつ、ポーズでリピーティングを行いやすくなっていきます。

このように、2長いものに取り組む場合は、聴いた英語を「音だけ」で覚えようとするのではなく「意味内容まで」素早く理解することが必須です。それにより、リピートする際、忘れてしまった音の部分を意味内容から補って言いやすくしていきましょう。

とはいえ、始めは無理してチャレンジしなくてOK

ですが一方で、練習の難易度としては、非常に高くなります。

英語を聴いている際、意味内容まで瞬時につかむためには、

・耳にする情報を音声情報としてしっかり認識(音声知覚)
・そこからどんな単語が使われているか、どんな意味かを認識(語彙処理)
・どんな文構造かを認識(文法処理)
・上記を総合して、全体でどんな意味内容になるのかを認識(意味処理)
etc.

といった脳内処理を、ある程度反射的かつスピーディーにこなせるよう自動化されている必要があります。
(なおこれらは、リスニングに必要とされる基礎的な処理スキルとして知られています。cf. 門田, 2015)

そして、一度に扱う英語が長くなればなるほど、日本語に影響を受けた「返り読み」的な理解の仕方も割り込んでくる可能性が高くなり、英語と日本語の語順の違いに惑わされるという事態も出てきます。

このような脳内処理やスキルが不十分であればあるほど、リピーティングは二重苦、三重苦、、、となってしまいます。

なので、長い英語のリピーティングについては、もしこなすことが難しければ無理に挑戦しなくても大丈夫です。まずは、2秒以下の短い範囲のリピーティングを中心に練習していきましょう。

④:リピーティング前に他の予備練習をしておく

ここまで見てきたように、リピーティングをこなすには、あらゆる脳内処理やスキルが必要になってきます。

なので、一時リピーティング練習は横に置いてき、まずはそれぞれの処理スキルを事前に鍛えておくということも大切です。

例えば以下のような練習です。

音声知覚スキルの下稽古

英語を聴き、ある程度パッとどんな音かを認識できる「音声知覚」スキルを鍛えておくことは、リピーティングをうまくこなせるようにすための大前提となります。

リピーティングの前に、そのような下準備的なトレーニングを行っておきましょう。

具体的な練習方法としては、

英文スクリプトを見ながら、流れてくる音源と一緒に合わせて英語を言っていく「オーバーラッピング」

などに取り組んでも良いと思います。

この際、例えば単語どうしの音が繋がってしまう「リエゾン」や、あるべき音が発音されない「省略・脱落」といった “Phonological modification” (音声変化)についてもチェックをしていきましょう。

また英語には、前置詞や代名詞など「機能語」は短く弱く、名詞や動詞など「内容語」についてはたっぷり発音し、それによって作られる独特のリズムがあります。そう言った、アクセントや強弱についても、真似して言えるよう慣れておきましょう。

ある程度自分の口でも出せるようになることで、その音が耳でも聴き取れるようになっていきます。

ネイティブの音声をできるだけ真似しながら、ある程度違和感なく無意識的に発音できるようになるまで何度も繰り返しましょう。

意味内容理解のための下稽古

本格的なリピーティング前に、使うスクリプトの英文について、どんな単語、文法が使われ、どんな意味内容、全体のストーリーなのかを、ある程度つかんでおくことも補助練習としてはとても有効です。

これについては「音読」をしっかり取り組んでおくと良いと思います。

目の前の文を読み進めつつ、しっかり意味内容やストーリーの流れも掴みながら、何度も取り組むようにしましょう。

そうすることで、意味内容を理解するための語彙・文法・意味処理といった脳内処理を繰り返し取り組むことになり、スピーディーにこなせるようになっていきます。

※ポイント:リピーティング時の負荷をいかに減らせるか

以上、「音声知覚」と「意味内容理解」のための下稽古を見てきました。

これらに取り組む目的は、予め繰り返し練習しておくことで、本番のリピーティング時に「ある程度意識を割く必要がなく、無意識的にその行動をとれるようにしておく」ということです。

人間が情報処理のために使える、ワーキングメモリのキャパシティは限られています。

リピーティングは一度に多くの脳内処理に取り組むことを必要としますので、練習時にキャパオーバーにならないよう、個別のスキルは事前に練習しておき、ある程度本番では無意識的にこなせるように自動化しておきましょう。

さいごに


以上、リピーティングが難しくてできないときの対処法を書いてきました。

最後にお伝えしたいのが、「リピーティングがうまくできなくても全く大丈夫」と言うことです。

冒頭に書いたように、そもそもリピーティングは数ある練習法の中でも要求度の高い練習法であり、特に初心者にとっては難しい練習です。また、たとえこれがうまくこなせなかったとしても、他に英語力を伸ばせる方法やアプローチ法はあります。

単に今取り組むべきタイミングではないというだけで、他の練習法を通して下積みとなるスキルを身につけていけば、気がつけば「前よりできるようになってる!」というものだったりします。

うまくできなくてもストレスをためずに、場合によっては他の方法も模索しながら学習を進めていきましょう。

おわり


ーーー
【参考文献】
Baddeley, A. D. 2002. Is Working Memory Still Working?. European Psychologist, 7(2), pp. 85–97.

門田修平. 2015. 『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』 東京:コスモピア.