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瞬間英作文で英語脳はつくれる?【結論:その人がどう取り組むかです】

瞬間英作文

「瞬間英作文って『英語脳』をつくるのに効果的な練習なの?」
「瞬間英作文をやると『しゃべる時に日本語で考える癖から抜け出せない』って聞くけど心配…」
etc.

今日はこんな疑問に答えます。

そもそも英語脳って?

一般的に「英語脳」とは、会話などで

・英語を英語のまま理解できる・しゃべれる
・日本語を介さずに理解できる・しゃべれる

ということを指し、おそらくスピーキングにおいて

会話で英語がパッと出てこないので、日本語を思い浮かべてそれを英語に訳している、それで時間がかかってしまっている

という課題感から頻繁に触れられている言葉と思います。

今日は、瞬間英作文はこのような「日本語を介さず、英語を英語のまましゃべれる力(脳)をつけるのに有効なのか」を、第二言語習得の論理背景なども引用しつつ書いて行きたいと思います。

本記事の内容

  • 瞬間英作文で英語脳はつくれる?
  • 「瞬間英作文をやると、日本語で考える癖がついてしまう」という問題の本質

では行きましょう。

瞬間英作文で英語脳はつくれる?


まずメインの結論ですが「その人がどう取り組むか」で変わります。
言い換えると「何を意識して瞬間英作文に取り組むか」ということです。

「何を意識して練習に取り組むか」によって「学習者の頭の中でどんな情報処理がなされるか」が変わり、それが「最終的に身につくスキル」を大いに左右します。

どういうことか、脳内での「情報処理」という観点から具体的に見て行きます。

スピーキングの基本メカニズム

まずスピーキング時に我々の頭の中でどんな情報処理がなされているか見てみましょう。

我々は発話をしたり何かを理解するとき、頭ではコンピューターのようにある計算(処理)をしています。

研究者のLevelt(1989)によると、発話をする際、我々の脳内では主に以下のような処理がなされています。

①概念化は、まだ具体的な言葉を持たない伝えたい話の中身、メッセージ、イメージのようなものです。

例えば相手に「どんな人がタイプ?」と聞かれて、それに対し何を自分が話すか(例えば「背が高い人」「お金がある人」など)を決めることです。

つまり “What to say” に関する情報処理です。

②形式化では、それをどんな言語で表現するか、つまり “How to say”に関わるプランニングです。
ここで初めて英語や日本語などの具体的な言葉でどう表現するかといった「言語的な要素」が関わって来ます。
(なお、このことから形式化は「言語化」や「文章化」とも言われます。)

最後③は実際に筋肉を動かして声を出す、という処理の段階です。

①概念化→②形式化→③調音化の順で処理は進む

このモデルが表している1つの大きな特徴は、③は②で処理された情報をもとに処理を行い、②は①で処理された情報をもとに処理されるということです。

つまり発話の全ての始まりは、①概念化の「何を言うか」のプランニングからと言うことになります。

ちょうど工場の製造ラインに似たような構造です。
パン工場に例えると、

①でこねられたパンが
②の加熱工程で処理され
③パッケージング処理され
出荷

というようなものです。

②の加熱の工程は、①からの肝心のパンがないことには成り立ちませんし、③も②から届く加熱済みのパンがないと成り立ちません。

発話とは基本的に必ずこの①でつくられたものが、②で処理され、③で処理されというプロセスを踏んでなされ、また逆もありません。

このようにスピーキングは「話したい内容」「メッセージ」「コンテンツ」が全ての始まりです。

①で概念化した内容をいかに素早く②で形式化できるかが鍵

以上のことを考えますと、特に「①→②」の回路の連結、処理のスムーズさを鍛えていくことがスピーキング力アップの鍵となります。

言い換えると、

①概念化:「こんな内容を伝えたい」→②形式化:「その場合はこんな英単語・英文法・英発音で言う」

というプロセスを練習を通して速めていくということです。

なお、この中には日本語の処理は入っていません。なので、もしこのプロセスを練習の中で意識的に鍛えることができれば、「英語を英語のまましゃべる」と言ういわゆる英語脳ができてきている状態と言えるでしょう。

瞬間英作文では「その状況や会話の内容をイメージする」ことが大事

では瞬間英作文でこのような処理を鍛えられるのでしょうか?

練習の際あることを意識をするとそれは可能です。

それは、

お題の日本語を読んだときに、まずその会話の状況を想像し、伝える内容もしっかりイメージした上で英語で表現する

ということです。

これにより①の概念化の情報処理をしっかり取り組んだ上で、②以降の英語で表現するという部分に入っていけます。

例えば、「SVOO」の練習で、

彼女は私に昨日ケーキを作った。

というお題であれば、まず日本語を読んでその状況を想像します。

「彼女」「私」の登場人物を具体的に思い浮かべ、「彼女」→「私」に「手作りのケーキ」が渡っているようなイメージ、さらには誰か友達や家族に昨日の出来事ことをしゃべっている場面を想定して、せーのっ!

She made me a cake yesterday.

と口にしましょう。

おそらくここまで想像すると、自然と感情も乗り発話する実感も得られると思います。
(1発で完璧に言えなくても大丈夫です。瞬間英作文では、この「イメージ→英語」を繰り返す中で英文も少しずつ正確かつスムーズに言えるように練習して行きます。)

※お題の日本語を「訳している」わけではない

これが一番のポイントです。

  • 上記のやり方:頭の中でイメージされたものや伝えたい内容を英語で表現(←しゃべる練習)
  • 日本語訳:ただ日本語を英語に置き換える(←訳す作業)

という根本的に違った行為になってしまいます。

前者は、「こんな内容が伝えたい」というのがまず軸にあって、それをどんな英語で表現できるかという処理しています。

つまり、あくまで①概念化→②形式化が一連の流れでセットで行われており、先ほどのLeveltのモデルで見た、本来のスピーキング処理と同じステップを踏んでいます。またこのとき、お題の日本語はあくまで「こんな内容が伝えたい」と言う①概念化のためのきっかけでしかありません。

一方後者の場合は、「彼女=She、つくった=made、ケーキ=…」などと日本語と英語を対応させ、置き換えて行った結果として英文ができあがるような形になってしまいます。

そこには日本語⇄英語の言語間のやり取りはあるものの「文全体としてのメッセージ性や意味」はほとんど加味されていません。

つまり本来スピーキングのスタート地点である、①概念化「こういう内容が言いたい」というメッセージの部分は、ほとんど無視された練習ということができます。

  • 「概念化」から英語にする(←正しい瞬間英作文&実際のスピーキング)
  • 「日本語」から英語にする(←訳す作業)

と、同じ英語を口にする行為でも、スタートの情報処理が取り組み方によって全く変わります。

後者のような練習だけを行うと、いざ実戦の会話で「こういうことが言いたい」と思ったときに、やはり日本語に頼りたくなってしまうでしょう。

なかなかスムーズに英語につながるような脳内の処理(①概念化→②形式化)が鍛えられません。

「瞬間英作文をやると日本語で考える癖がついてしまうのでは?」という問題の本質


これもよく言われる言われることだと思います。

ですがこれまでの内容でお分りの通り、これもやはりその人の練習への「取り組み方次第」で結果は変わってきます。

あらためてまとめると、

  • しっかり頭にイメージをつくって(概念化)それを英作する練習 → 英語を英語のままで使えるスキルアップ
  • 日本語を英語に訳すような練習 → しゃべるとき日本語を中継することからなかなか抜けられない

ということになります。

瞬間英作文という練習法自体が、無条件に日本語で考える癖をつけさせてしまうということはありません。

というよりは、普段の練習のときから、どちらの頭の使い方を意識して練習するかということです。

「やり方」にこだわって瞬間英作文に取り組んで行きましょう

英語学習をする際、練習は「何をやるのか」を時間をかけて考えると思います。

ですが、その練習を「どのように正しくやるか」ということを考えることもとても大事です。

今回の「日本語を介さずに英語を英語のまましゃべる」ための具体的な練習方法は、こちらの記事にまとめていますのでぜひ参考ください。↓

言語を使うメカニズムを理解し、それによって練習の時意識するポイントを考え練習に取り組んで行きましょう。

まとめ

以上今日は「瞬間英作文で英語脳はつくれるのか?」と言う内容でした。

  • ポイント:概念化したものを英語でパッという練習をする
  • そのための手順:日本語を読んだらしっかり内容をイメージ、それをもとに英語を喋る練習を積む
  • 注意点:日本語を英語に訳そうとしない

でした。

おわり

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【参考文献】
Levelt, W. J. M. 1989. Speaking: from intention to articulation. Massachusetts: MIT Press.