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瞬間英作文でスラスラ言うのが難しいのはなぜ?【その原因と対処法】

瞬間英作文

瞬間英作文でスラスラ言うのが難しいのはなぜでしょうか?

「手順の説明で書いてあるようにスラスラ英作できない..」
「自分のやり方が間違っている?」
「できないのはなぜ?」
「どうしたらいいの?」

このような疑問に答えます。

この記事を読むことで

  • 瞬間英作文でスラスラ言うのが難しい原因と
  • その対処法

が理解できます。

今回も主観に寄り過ぎないよう、必要に応じて第二言語習得分野で言われている理論背景にも触れながら、私なりの考えを書いて行きたいと思います。

では行きましょう。

瞬間英作文でスラスラ言うのが難しいのはなぜ?その原因は?


まず原因についてですが、大きく以下の3つが考えられます。

  • 原因その1:文法知識の定着が不十分
  • 原因その2:瞬間英作文に取り組む際の頭への負荷が高すぎる
  • 原因その3:逐語訳をしてしまっている

原因その1:文法知識の定着が不十分

この状態のとき、なかなかスラスラ英作をするのは難しくなります。

瞬間英作文は「知識を使う」ための練習であり、その前段階として「使うための知識」が十分に定着していないと、いざ英文を作り出すときにそこで一回一回止まってしまうからです。

例えば「現在分詞-ingの名詞の後置修飾」の例で見てみましょう。

<例題>
あそこでコーヒーを飲んでいる女性は私の友達です。
 →回答例:The woman drinking coffee over there is my friend.

ここでの中学校文法が定着してない学習者の方でよくある間違いの1つは、womanの直後にisを入れてしまうことです。

つまり「あそこでコーヒーを飲んでいる女性」という部分がこれ1つで名詞のカタマリであり、それが文全体の主語になっていると認識できず、womanの直後にもisを置いてしまうということが起きてしまいます。

結果、全体の文構造が見えないため、それ以降の語順の組み立てが立ち行かなくなってしまいます。これは主に文法の中でも「文構造」に関する知識が曖昧な例ですね。

もう1つ、「使役動詞have」「haveOC」の単元から以下の2つの例を見てみましょう。

・私はその修理工に車を直してもらった。
  →回答例:I had the repairman fix the car.
・私は車を修理してもらった。
  →回答例:I had the car fixed.

どちらも動詞はhad、そしてfixという単語も使われています。
例えばこの、had以降の語順、そしてfixなのかfixedなのかという選択もよく迷ってしまうポイントです。

hadの後ろは、上は必ずthe repairman 下は必ずthe carとなり、fixは上は必ずfix 下は必ずfixed になる理由があるのですが、このあたりも文法知識が曖昧だと英作が難しいことがあります。

その都度「なんだっけ…」と止まってしまったり、または知っていたとしても十分に定着しておらず「思い出すのに時間がかかってしまう」とスラスラと英作するのは難しくなってしまいます。

英文法の知識はすぐに思い出せるように

なので、これがポイントになります。
いわば文法は英文を自分で作れるようにするための「マニュアル」のようなものです。

何か分からないことがあったときに、その都度マニュアルを引かないといけない(文法テキストを読まないといけない)状態よりも、事前に一通りしっかりと覚えてしまいすぐ思い出せる状態の方が、本来やりたい行動に集中しやすくなります。

研究者DeKeyser (1998, p.59)の言葉で言うと、練習の前段階として頭の中の文法知識への “accesibility” をしっかり高めておかないといけません。

こと瞬間英作文は、知識を新しく覚えるための「勉強」ではなく、スキルを身につけるための「練習」と言う側面が強いです。
なので練習のときには、純粋に「知識を使う」方に集中できるよう、先にしっかりと覚えておくことが必要となります。

原因その2:瞬間英作文に取り組む際の「頭への負荷」が高すぎる

特に新しくスキルを学び始めるときは、学習者はタスクの遂行に多くの意識を割かないといけません (Johnson, 2008) 。

ここにいろんな要素が重なり、タスクの完遂(瞬時に英作すること)が困難になることがあります。

例えば使われている単語が難し過ぎる場合などその例です。
瞬間英作する文に馴染みのない単語が多いと、どうしても文法だけではなく単語を思い出すことにも多くの意識が割かれてしまい、二重苦のような状態になってしまいます。

また長い文をつくらないといけない場合もそうです。
1つの「SV〜」を完成させるのでもいっぱいいっぱいの状態のときに、「関係代名詞」や「接続詞」のような「SV〜」を一気に2つ分完成させないと行けない瞬間英作文では、脳の処理としてはかなり骨が折れる作業となります。

結果、瞬時に英作をするということが難しくなります。

このように一度に意識しないといけないことが多い “cognitive overload”(認知的過負荷)な状態では、効果的な練習が難しくなってしまいます。なのでそれを軽減する対策が必要となります(Goh and Burns, 2012, p.42)。

原因その3:逐語訳をしてしまっている

また日本語を一語一語忠実に英語に訳していくような「逐語訳」になっている場合も、瞬間英作文のスピードは落ちてしまいます。

頭の言語処理の仕方が「一文単位のメッセージ」にではなく「単語単位の狭いフォーカス」になってしまうからです。

なお、この逐語訳の弊害と対処法については過去に記事を書いてます。
この症状に心当たりのある方はこちらの記事の後半も参考ください。↓
» 瞬間英作文の効果的なやり方とは?

スラスラ言うのが難しいときの対処法は?


ではここからは、主に[原因その1]と[原因その2]についてその対処法を見ていきたいと思います。

主なアプローチは、

  • 対処法その1:瞬間英作文は一旦置いておき、まず文法テキストを復習する(←原因その1)
  • 対処法その2:負荷を下げる諸々の工夫する(←原因その2)

となります。

対処法その1:瞬間英作文は一旦置いておき、まず文法テキストを復習する

↑「原因その1:文法知識の定着が不十分」に対する対処法です。

まずは「文法を知識として記憶に定着させる」ことにしっかり集中するのが、結果、後の効率的な瞬間英作文練習につながっていきます。

また、シンプルに「文法ルールを覚える」ことに加え、この段階で「タイムプレッシャーなしだったら正確に文が作れる」と言う状態を目指すためでもあります。
この状態にまで持って行っておくと、いざ「瞬間」英作文に入ったときも、文法ルールに沿った頭の使い方を自然に取りやすくなり、スムーズに英作をしやすくなってきます。

文法テキストレベル→中学校レベルでOKです。

「中学校1〜3年生レベル」だけで、瞬間英作文の中心範囲はほぼカバーされます。

また実際の会話も、その多くが「中学校文法の組み合わせで成り立っている」と言っても過言ではありません。

行っても「高校基礎レベル」まででOKです。
が、ただ優先順位としては中学校レベルをまずマスターしていきましょう。

手順:「文法についての説明を読む」→「練習問題を解く」と進めて行きましょう。

それぞれの目的は、

  • ①文法の説明 → 文法ルールをまずはしっかりと「理解する」ため。
  • ②練習問題 → 理解した内容を「より強固に記憶に留める」ため。また、この段階である程度「自分の力で正しい文を作り出せるようになる」ため。

です。

②について一部例としては、文法問題集などにもよくある「複数の文を一文に書き換える問題」

Q. 以下の文をalthough, because, beforeなど接続詞を使って1文にせよ。
They planed to go abroad. Their flight was cancelled.
→ (回答例)Although they planed to go abroad, their flight was canceled.
Q. 以下の文を関係代名詞を使って1文にせよ。
He likes the watch. His girlfriend gave it to him.
→ (回答例)He likes the watch which his girlfriend gave to him.

や、以下のような「穴埋め問題」

Q. 以下の空所に意味が通るように適切な接続詞を入れよ。
(     ) they planed to go abroad, their flight was canceled.
Q. 上と下の文の意味が同じになるように空所を埋めよ。
He likes the watch. His girlfriend gave it to him.
He likes the watch (     ) his girlfriend gave to him.

などです。

またこれ以外にも、「単語の並べ替え英作問題」「日→英和訳問題」なども考えられます。

まだこの復習の段階では「瞬間」は意識しないでOKです。

ここでは英文をつくるための正しい知識を身につけることが目的です。「スピード」はその後の瞬間英作文パートで上げていくところになります。

まずは焦らずに腰を据えて文法の復習に取り組み、「瞬間ではないが、時間をかければ正しく英作はできる」ということを目指しましょう。

対処法その2:負荷を下げる諸々の工夫する

瞬間英作文に取り組むとき、
「意識することが多い..」
「頭がいっぱいいっぱいでスムーズにできない」
というときは、その原因を考え負荷が下がるような対策をしていきましょう。

何個か対処法の例を挙げてみます。

テキストは中学校レベルのものを選ぶ。

使われている単語が難しい場合、また文法も高校や受験で扱うようなものが多く含まれるものは負荷が高くなってしまいます。
Readingだと「簡単すぎる」と思うものでも大丈夫です。
中学校レベルのものを中心に、自分でパッと言えることをファーストステップとして目指しましょう。

他の観点としては、

・比較的短文で構成されているもの
・ビジネスなどあまりシーンが固定されてないもの
etc.

が入りやすくて良いと思います。

中1レベルの範囲をしっかり自動化してから中2→3レベルに入る。

中学校2,3年の文法は、中学校1年の内容の組み合わせとなっている場合が多いです。

そのためいきなり1〜3年の全体を通して瞬間英作文をするよりは、まず中学校1年の範囲に絞りそこを集中的に練習していきましょう。

ある程度、「楽に」かつ「スピーディー」にこなせる「自動化」した状態まで持っていき、その後中学校2年の範囲、2年の範囲が自動化→3年の範囲と進んでいくとスムーズと思います。

しっかり土台を固めておくと、中3レベルの文法などでも負荷は下がり取り組みやすくなります。

長い文は節単位などに分ける。

例えば「接続詞」の単元では作らないといけない英文もかなり長くなります。

もし難しければ、日本語を一単語ずつ英訳していく逐語訳は避けた方がいいですが、「SV〜」などの「節単位」であれば最初は部分に分けるのも有効です。

例えば、

彼らは外国に行く予定をしていたが、飛行機はキャンセルになった。

と言う瞬間英作文では、まず前半のAlthough they planed to go abroadの部分に意識を集中し英作し、その後後半のtheir flight was canceledに入ると言う流れです。

ただし、前半のパートと後半のパートは意味的にも文構造的にもAlthoughでしっかり繋がっています。
慣れるにつれ「一文全体」で瞬間英作ができるように練習していきましょう。

その他の工夫

以下はその他思いつく負荷を下げるための案です。

  • そのページの瞬間英作文10個に一通りトライした後、回答を見ながら「音読」を厚めに行う。そのページのテーマとなる文法を意識しつつ、その頭の使い方に慣れまた瞬間英作文にトライする。
  • また頭の中だけで英語を組み立てることが難しい場合は紙に書いてもOKです。ただし、上記の音読なども挟みその英文に慣れていき、最終的には頭の中だけでパッと口頭英作ができることを目標にしましょう。
  • 発音はあまり追求しない(発音が大事ではないと言うことではなく、あまりに完璧さを目指すあまり脳のリソースがそちらに取られてしまうのを防ぐため。発音はまた別途他の練習で集中して学ぶ。)

などです。

以上、いくつか負荷を下げるための具体例を見てきました。
とにかくポイントは、

「現状の自分に合った適切な負荷」に合わせる工夫をする。それによって練習がうまくこなせる「manageble」な状態を自分でつくっていく。

ということです。

これは瞬間英作文に限らず、リスニングの音の聞き取り練習でも、リーディングの音読の練習などでも同じです。

「現状よりも一段階だけ上の負荷」を常にかけるようにし、本来鍛えるべき筋肉を反復練習で少しずつ鍛えていきましょう。

まとめ


今日は、瞬間英作文でスラスラ言うのが難しい原因と対処法でした。

「うまく練習がこなせるかどうか」はその練習を続けられるかどうかに関わり、最終的に効果を得られるかにも関わってきます。

ですがしっかりと原因を考え対策をすれば大丈夫です。
ご自身のケースを思い浮かべ、ぜひ参考にされてみてください。

おわり


ーーー
【参考文献】
DeKeyser, R. M. 1998. Beyond focus of form: cognitive perspectives on learning and practicing second language grammar. In C. Doughty and J. Williams, eds. Focus on form in classroom second language acquisition. Cambridge: Cambridge University Press, pp.42-63.

Goh, C. C. M. and Burns, A. 2012. Teaching speaking: a holistic approach. New York: Cambridge University Press.

Johnson, K. 2008. An introduction to foreign language learning and teaching. 2nd ed. Edinburgh: Person Education Limited.