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コンテンツシャドーイングのやり方とコツ【4つのステップで解説】

シャドーイング

コンテンツシャドーイングってどうやるの?
やり方や練習するときのコツなんかも知りたい。

今回はこのような内容についてです。

コンテンツシャドーイングは難易度の高い訓練法であり、「ステップを踏みながら段階的に取り組んで行く」ことが大切です。

そのあたりも踏まえ、やり方を手順をまとめてみました。

本記事の内容

  • 1. コンテンツシャドーイングのやり方
  • 2. コンテンツシャドーイングの注意点
  • 3. コンテンツシャドーイングのコツ

学習の参考にされてみてください。
では行きましょう。

1. コンテンツシャドーイングのやり方

内容を理解しながらシャドーイングをする。
やることはシンプルにこれだけです。

  • 聞いた音を、音源から2語程度遅らせて同じように繰り返して行く。
  • その中で「なるほど、なるほど」と「内容や話者が伝えようとしているメッセージ」も掴みながらシャドーイングをして行く。
  • 聞いた音をただ繰り返すだけではなく、実践のリスニングさながらに、各単語の意味や文構造なども認識しながら内容を理解していきましょう。

    コンテンツシャドーイングで鍛えられる能力

    リスニングは、それがどんな音かを認識するステップ(音声知覚)と、そこから語彙の意味や文構造をとらえながら文意や内容をつかんでいくステップ(理解)の主に2つに分けれられます(門田, 2015)。

    上記のように、コンテンツシャドーイングは「知覚」と「理解」の両方の脳内処理を使い込んでいくことによって、リスニングに必要となるスキル全般を強化していく練習法と言えます。

    2. コンテンツシャドーイングの注意点

    「理解しながらシャドーイング」とやることはいたってシンプルです。

    ただ1つ注意すべきことがあります。
    それは「コンテンツシャドーイングは難しい」という点です。

    コンテンツシャドーイングが難しい理由

    一言で言うと「やることが多い」、これに尽きます。

    シャドーイングは「音を聞き取りながら、同時に自分の口で言う」というマルチタスクです。そして、英文も次から次へと洪水のように流れ込んできます。学習者は、短時間で大量の情報をさばいて行かないといけません。

    このような「音の処理」だけでも相当な集中力を要しますが、その上「内容の理解」まで行うとなるとなおさら負荷はかかります。

    これが仮に日本語でのシャドーイングであれば、その大部分が「無意識かつ瞬時にできるように自動化」しているため、そこまで問題にならないかもしれません。

    ですが、英語は日本語ほど自動化していないのが通常です。

    聞いた音、単語の意味想起、文構造の判断など、1つ1つの処理に時間がかかってしまい、「一度に注意を向けられる先」もどうしても限られてしまいます

    音を聞こうとすると内容に集中できない…
    逆に、文構造とかまで気にすると次の音を聞き逃してしまう…
    etc.

    結果、このようなことがよく起きてしまい、途中で何度も詰まってしまったり、なかなか最後まで到達さえもできなくなってしまいます。

    これではなかなか効果的な練習にはなりません。

    3. コンテンツシャドーイングのコツ【一気に全部こなそうとしない】

    いきなりコンテンツシャドーイングではなく、段階的に練習を進める。

    これがポイントです。

    「音の知覚」や「内容の理解」といろんな要素が含まれるコンテンツシャドーイングですが、はじめから全部一気に取り組もうとするのではなく、各スキルを、積み木を積み上げるように1つずつ練習していくことが大切です。

    まずはコンテンツシャドーイングで求められるスキルを各パーツごとに練習 ⇨ それぞれを楽にこなせるよう自動化 ⇨ コンテンツシャドーイングへ

    上記のようなイメージです。

    では、コンテンツシャドーイングに入る前に、どんな下稽古を積んでおくとよいのか?
    考えられる手順としては以下のようになります。

    • ステップ①:音のみに集中する「プロソディーシャドーイング」
    • ステップ②:内容を理解しながら行う「音読」
    • ステップ③:音⇆意味を結びつける「オーバーラッピング」
    • ステップ④:最終段階「文字スクリプトありでコンテンツシャドーイング」

    順番に見て行きましょう。

    ステップ①:音のみに集中する「プロソディーシャドーイング」

    この練習のターゲット

    まずは「音声だけ」を意識してシャドーイングを練習しましょう。
    これを「プロソディーシャドーイング」と言います。

    この時点では、ひとまず英文の意味内容については意識しなくてまったく大丈夫です。
    その分音声にしっかりと耳を傾け、モデル音と同じ発音ができるよう繰り返し練習していきましょう。

    なお、門田(2018, p.159-160)でも、このプロソディーシャドーイングは、コンテンツシャドーイングの前段階の練習として、以下のように触れられています。

    ここでは、英語の発音に注意を向け、それをできるだけそのまま模倣しながら復唱することが重要です。特にリズムやイントネーションなどプロソディ(韻律)に注意します。[中略] この [中略] 練習は、可能な限り、苦もなくできようになる(ほぼ自動化を達成する)まで練習する必要があります。

    「苦もなくできる」というのが大切なポイントです。

    ここで音声を無意識的に処理できる状態をしっかりつくっておくことで、後々でシャドーイングに取り組む際の脳のリソースを「内容の理解」といった別の処理にも集中しやすくなっていきます。

    まずは音声レベルで、楽にシャドーイングがこなせる状態を目指しましょう。

    なお、プロソディーシャドーイングの練習方法については過去の記事でまとめています。詳しいやり方や手順については、そちらを参考ください。

    ステップ②:内容を理解しながら行う「音読」

    この練習のターゲット

    ここではしっかり英文の内容もつかみながら音読をしましょう。

    それにより、後でコンテンツシャドーイングで必要となる「内容理解」の部分を中心に、下稽古として鍛えていくことになります。

    なお音読なので、ここではお手本となるモデル音はありません。
    あくまで「文字情報をベースに自分の発音で練習」するようになります。

    ただ、ステップ①で「理解」は二の次としていたように、この段階でも発音については一旦そこまで気にしなくて大丈夫です。

    選択と集中が大切です。
    この段階ではしっかり英文の内容を理解することにこだわり、各単語の意味の想起や、文構造もとらえつつ、しっかりと内容をつかみながら音読していくようにしましょう。

    ここもしっかり自動化が促せるように、反復して練習することが肝心です。
    » 参考:英語音読の総まとめ【基礎知識〜実践テクニックまで網羅】

    ここで「英語を英語の語順で意味をつかむ」ことにも慣れておきましょう

    最終的にコンテンツシャドーイングでは、聞こえてくる英文を、聞こえてきた順に素早く意味処理していかなければなりません。

    特に音は一度聞き逃してしまったら、前に返って理解し直すといったことはできないからです。つまり「英文を英語の語順で理解していく」ということが重要です。

    このあたりは音読の段階で意識し、しっかりと慣れておきましょう。

    たとえば「スラッシュリーディング」は「/」をの目印を使いながら、「左→右に直読直解で理解する」習慣を身につけるための練習法です。

    ③:音⇆意味を結びつける「オーバーラッピング」

    この練習のターゲット

    ここから少しずつ音声知覚と理解を一緒にこなせるような練習に入って行きます。

    オーバーラッピング」は、文字スクリプトを見ながら、流れてくる音源と同じタイミングで英文を言っていく練習法です。

    上記のように、音源にぴったり合わせながら英文を口にしていきます。

    基本的に文字スクリプトを使って読み上げていく形にはなるので、ステップ②の音読とかなり共通する部分はあると思います。

    ですが、音源に合わせて言っていくことが前提なので、モデル音のリアルなスピードやリズムの中で、素早く意味想起をしていくことになります。

    また、ぴったりモデル音に合わせて発音することを意識することで、「自分がモデル音とまったく同じ音声で言えているか」という音声面のチェックもしやすいはずです。

    ステップ①で取り組んだ音声的な処理と、ステップ②での意味的な処理を同時にこなす感覚を、ある程度ここで慣れて行きましょう。

    ④:最終段階「文字スクリプトありでコンテンツシャドーイング」

    この練習のターゲット

    コンテンツシャドーイング直前の予行演習とも言える練習です。

    今度は本来のシャドーイングさながらに、モデル音から2語程度遅らせて言うようにしましょう。
    文字スクリプトを使いつつ、意味想起も行っていきます。

    ただ文字スクリプトについてはあくまで補助という位置付けです。
    基本は耳で聞いた音声に意識を向け、英語を捉えて行くようにしましょう。

    もちろん、はじめは文字に頼る比重が多くなってしまっても大丈夫です。
    それでも少しずつ慣れてきたら、より「耳を使う」方に意識をおき、文字スクリプトは部分的に確認するくらいにしましょう。

    この段階でも反復して練習し、しっかり自動化して行きましょう。

    以上がコンテンツシャドーイングに入るまでの流れです。

    各ステップを段階的に練習していけば、いきなりコンテンツシャドーイングに入るよりはかなり練習に取り組みやすくなるのではないかと思います。

    その他のポイント

    スクリプトレベルの調整

    少なくともこの練習の導入初期では、不明な語彙や文法項目がほぼ含まれていない、難なく内容を理解できるレベルの英文で始めるのがよいでしょう。

    まずは1回リスニングをしてみた際に、ストーリーの大枠はムリなく理解できるものがよいと思います。

    スピードの調整

    またスピードも、シャドーイングを取り組みやすくする重要なファクターの1つです「難しい…」と感じた場合は、ゆっくりなスピードからはじめて全くOKです。

    それでもコンテンツシャドーイングでは、頭の中で多くのことを同時に行わないとならず、とても忙しくなってしまうのはここまで書いてきた通りです。

    基本は、スピードが遅いほどその分余裕が出てくるはずです。
    難しさを感じたら、まずはアプリなどでスピードを調整してみましょう。

    当面は、プロソディーシャドーイング&音読だけに集中するのも手です。

    リスニングで、いつも音の聞き取りに苦労している…
    英語を直感的に左→右に理解することに慣れていない…
    etc.

    上記のようなことに大きく課題がある場合は、「ひとまずコンテンツシャドーイングまでは無理に入らない」というのも選択肢の1つです。

    コンテンツシャドーイングは、上記の2つのスキルを「一気に」求められる練習です。
    そのどちらも、もしくはどちらかのスキルが不安定で十分自動化してないうちは、相当難易度が高くなってしまいます。

    • プロソディーシャドーイングで → 音声知覚を集中的に強化
    • 音読で → 英文内容のスムーズな理解を集中的に強化

    当面の間は、上記の2つを軸に学習を進めるのも良いと思います。

    まずはそれぞれの練習を無理なくこなせる状態をつくり、各スキルが自分のものとして定着してきたら、コンテンツシャドーイングにもチャレンジしていくようにしましょう。

    さいごに

    以上、今回はコンテンツシャドーイングのやり方についてでした。

    • コンテンツシャドーイングにどんなスキルが必要かを考える
    • それぞれのスキルをまずは「分けて」練習
    • それぞれを十分自動化し、楽にこなせるようにしてからコンテンツシャドーイングへ

    上記が基本になるかと思います。

    難しいと感じる場合は、急がば回れが大切です。
    自分の状況に合うように、うまく難易度を調整しながらチャレンジしていきましょう。

    おわり


    ーーー
    【参考文献】
    門田修平. 2015. 『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』 東京:コスモピア.

    門田修平. 2018. 『外国語を話せるようになるしくみ:シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム』 東京:SBクリエイティブ.