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初心者もOK!シャドーイングのやり方【3つの手順+コツも解説】

シャドーイング

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シャドーイングの基本的なやり方や手順を知りたい。
練習がうまくいくためのコツや注意点なんかも合わせて知りたい。

今回はこんな内容です。

シャドーイングは「聞いた音を自分でも言う」とやることはとてもシンプルです。

その一方で、「練習中、何を重視すればいいのか」や「スムーズに練習を進めるためにどうすればいいのか」といったことを考えながら進めるのが成功の秘訣でもあります。

本記事が、シャドーイングが初心者という方、またすでに取り組んでいる方にとって、1つのガイドになれば幸いです。

本記事の内容

  • 1. シャドーイングでやるべきことは?【基本の型を知る】
  • 2. シャドーイング練習:3つの手順
  • 3. シャドーイング練習:注意点について
  • 4. シャドーイング練習:成果をあげるためのコツ

なお、シャドーイングは私が実践してきた学習法の1つです。また、これまで英語ティーチングの中でも指導してきました。

そういった経験なども踏まえつつ、この練習で大事と思われる部分について書いて行きたいと思います。

では行きましょう。

1. シャドーイングでやるべきことは?【基本の型を知る】

「音を媒介としたものまね」です。

そのためには、以下の3つのポイントを練習で重視することが大切です。

効果的なシャドーイングに欠かせない3つのポイント

  • ポイント①:音源にしっかり耳を傾ける
  • ポイント②:モデル音から2語程度遅らせる
  • ポイント③:聞き取ったネイティブの音声と同じように発音する

順番に見て行きましょう。

ポイント①:音源にしっかり耳を傾ける

「マネする」という行為は、「その対象がどんな特徴をしているか?」を正確に掴むことからスタートします。

つまりシャドーイングでそれは「音の知覚」です。

まずは「どんな音で言ってているか」を気にしつつ、「細部まで音を聴きとる意識」で練習していきましょう。

では流れてくるネイティブの音声から、どんな音声的な特徴をつかんでいくべきか?
具体的には以下のような点です。

  • 各単語の発音
  • 連結(リンキング)などの音声変化
  • 強弱のリズム
  • イントネーション
  • 息継ぎなどちょっとしたポーズや間

こういった面を注目して聞き、ものまねしていきます。

もちろん、いきなりすべてを意識することはなかなか難しいと思いますし、何と言ったのか聞き取れない箇所も出てくると思います。

そのあたりは、追い追い聞こえるようにテコ入れしていくところであり、はじめから完璧である必要はありません。

ただ練習の前提としては、こういった「細かい箇所まで聞いてマネしよう!」とする姿勢を大切にし、最終的には上記のような音声的な特徴まで完コピすることを目指しましょう。

ものまねの前提

  • 音を聞き取ったからからこそ、はじめてそれを自分の口でもマネできる
  • 聞き取れなかった箇所は、自分でも言えない(マネできない)

上記は、シャドーイングを始めるにあたってとても大切なポイントです。

ポイント②:モデル音から2語程度遅らせる

2語程度のタイムラグは、時間にしてみるとほんの一瞬です。
それでもこのちょっとした「間」を取ることが大切です。

この間で、以下のような処理を頭の中で行うことになります。

  • 外からの音声入力に対して「どんな音が聞こえてきたのか?」を判別・認識する
  • 「聞いた音を、どう自分の口を動かして発音したら良いか?」をプランする

もちろんどんどん英文は流れてくるので、じっくりと考えている暇はありません。
集中力を必要とし、次々と英文をさばいていく必要があります。

また、「少し遅らせる」という行為も、はじめは少しやりにくいかもしれません。
ただ、繰り返し取り組んでいると、徐々に慣れてきます。

このちょっとした間も、シャドーイングで効果を上げるための大切な1つの要素となります。

ポイント③:聞き取ったネイティブの音声と同じように発音する

最後は、実際に自分の口や舌などを動かして発音していきます。

聞いた音をそのまま自分でも言えるよう、できるだけ忠実に再現して行きましょう。

なおこれについても、初めから完璧に再現することは難しいと思います。
普段日本語を口にするときにはしないような動かし方をすることも多々あると思いますし、なかなかすぐには聞いたままの同じ音にならないかもしれません。

ただ、こだわりとしては持ちつつ、練習を繰り返す中で、少しずつネイティブと同じ音声に近づけるよう目指していきましょう。

効果的なシャドーイングに欠かせない3つのポイント(再掲)

  • ポイント①:音源にしっかり耳を傾ける
  • ポイント②:モデル音から2語程度遅らせる
  • ポイント③:聞き取ったネイティブの音声と同じように発音する

やることはシンプルにこれだけです。

これを基本の型としつつ、「モデル音をものまねする」もしくは「練習を重ねて、そっくりにマネできるようにしていく」ことが、差し当たりシャドーイングで重視していくことになります。

「音をものまね」して得られるもの

どんどん流れてくる英文に対して、ポイント①〜③のような、ある種過酷な行為を継続して行っていきます。
特にはじめは集中力を必要とし、かなり大変過酷な作業です。

が、何度も繰り返していると、まったく同じことが「スムーズに」、かつ何も考えなくても「無意識的に・楽に」できるよう「自動化」していきます。

結果、主に以下の2つの面で効果が期待できます。

「音のものまね」を通して、英語を文字ではなく音として扱うことにしっかり慣れていきましょう。

意味内容は考えなくてもいいの?

ここまで読まれて、「注目するのは音だけで、意味までは考えなくてもいいの?」と疑問に思われているかもしれません。

意味については、一旦気にしなくて大丈夫です。
特にシャドーイングに慣れないうちは、それが大切です。

理由は、音に集中しながら、語彙の意味・文構造・文意などまで一気に捉えようとすると、頭の情報処理がキャパオーバーになってしまうためです。

「すぐ置いていかれるし、ほとんどこなせない…」
「最後までとてもじゃないけどたどりつけない…」
etc.

結果このような状態になり、挫折の原因にもなってしまいます。

少なくとも音声面の再現がしっかり余裕でこなせるようになるまでは、「内容の理解」まで意識しなくて大丈夫です。

その分、シャドーイング中のすべての集中力を、まずは「音をまねすること」に注ぎ、しっかりと英語の音の細かいところまで再現できるように、そして「英語の音の感覚」を自分のものにできるようにしていきましょう。

2. シャドーイング練習:3つの手順【1つずつ段階的にがカギ】

以下の通りです。

  • 手順0:下準備として
  • 手順①:オーバーラッピング
  • 手順②:シャドーイング(文字スクリプトあり)
  • 手順③:シャドーイング(文字スクリプトなし)

シャドーイングの肝:レベルを調整し「段階的に」進めること。

通常シャドーイングというと、手順③がその練習になると思います。
もちろん練習としてしっかりこなせ、シャドーイングが形になるのであればそこから入るのも良いと思います。

ただ、上記でも触れたようにシャドーイングはかなりのハードタスクです。

初心者の段階でいきなり挑戦し、手も足も出ず「こんなのとてもじゃないけどできない..」となってしまうのは避けたいところです。

対策として、本格的なシャドーイング前に予備的な練習をしっかりと入れ、段階的に慣れていくようにしましょう。

今回の手順は、そのあたりを考慮したやり方の例となります。
では順番に見て行きましょう。

手順0:下準備として

  • (1) 使用スクリプト → 「読めば難なく理解できるもの」&「スピードもある程度余裕を持って対応できるもの」を準備
  • (2) 知らない単語や文構造などが含まれていれば、調べたりしてあらかじめ確認。一通りテキスト全体の意味内容も把握しておく。

(1) について。
門田(2018)は、特にシャドーイング初期では成功体験を積むことが大事であり、そのためには「現状の自分の英語レベルよりも簡単な英文」を使っていくことを推奨しています。

そしてその基準として、以下の2点を上げています。

  • 英文レベル → 読めば理解がすぐできるレベル
  • 英文スピード → ゆっくりめのもの。場合によっては1分間に100〜120語かそれ以下のものも可

英文選びの際の参考にしていきましょう。

また、(2)について。
まったく知らない英文を、いきなりシャドーイングするのは大変です。

あらかじめテキストの内容(使われている単語やそれに付随する音、意味など)について知っておくことで、シャドーイングの最中もその時に確認した知識が使え、心的ストレスが軽減&より練習に取り組みやすくなると考えられます(Hamada, 2014)。

このような理由から、手順①に入る前に「何度か音読などを行い、あらかじめ英文の内容に馴染んでおく」というのも有効と思います。

無理せず、しっかりと下準備して練習に入りましょう。

手順①:オーバーラッピング

ここから音源も用いながらの練習に入って行きます。
まず第1段階は、オーバーラッピングです。

オーバーラッピングは、文字スクリプトを見ながらモデル音とまったく同じタイミングで英語を発音して行く練習です。

「モデル音源とのタイムラグがない」と言う点で、シャドーイングとは異なります。

上記のようなイメージです。

オーバーラッピングではモデル音と同時に発音するため、「音を聞いて、その聞いたものを元に発音する」という行為は物理的に不可能です。

聞いたものを口にするのではなく、文字を頼りに「読んだものを口にする」ということは避けられません。

ですが、シャドーイングの前練習としてのオーバーラッピングを挟んでおくことで、以下のようなメリットが考えられます。

英文の大まかなペース・リズム・イントネーションなどをつかめる

オーバーラッピングは、モデル音に被せて発音をしていくので、自分の発する英語がモデル音のスピードやリズムなどと違えば、その誤差を認識しやすくなります。

もちろん寸分狂わずピタッと合わせられるのであれば、それに越したことはありません。
ただ、この段階から細部まで100%にこだわると、ここからなかなか身動きがとれなくなってしまいます。

「ピッタリ合う=モデルのネイティブと同じ発音ができている」ということなので、できるだけモデル音源に被せることを目標としつつも、まずは大まかにモデル音とシンクロしてオーバーラッピングを通せるくらいを目標としましょう。

英語のリズムのルール

なおワンポイントアドバイスとして、何度練習しても発音が遅れてしまう、リズムが合わない、という場合は英語ならではの「強弱リズム」が再現できていない場合があります。

英語では、「ストレスを置いてたっぷり発音する語」「置かずに短く弱く発音する語」がある程度決まっています(Brown, 1990)。

  • 名詞・動詞・形容詞・副詞など(内容語と言います)→ ストレスを置きたっぷり発音
  • 前置詞・代名詞・接続詞・冠詞など(機能語と言います)→ かなり短く、弱く発音

» 参考:英語の強弱リズムをつくる際のルール【シンプルに3つだけです】

特に機能語については、決してストレスは置かず「ボソッと、現状の1/2くらいの強さ、短さで発音する」ことを心がけてみましょう。

手順②:シャドーイング(文字スクリプトあり)

いよいよシャドーイングに入ります。
ですが、まだこの段階では文字スクリプトを使用しながらでOKです。

ただオーバーラッピングとは違い、ここからは「文字を読む」から「耳を使う」への比重も大きくなっていきます。
また「自分が発音する時には、すでに次の部分を聞いている」といった、シャドーイングならではの「同時タスク」に慣れる目的もあります。

いきなりスクリプトなしで実践するのも大変なので、この段階では文字の補助もうまく活用しながら、少しずつ慣れて行きましょう。

はじめは文字を読む比重が多くなってしまっても問題ありません。

まずは繰り返し練習してみて、同時タスクそのものに慣れて行きましょう。

徐々にその頭の使い方にも慣れ、余裕が出てくると思います。

それにつれ少しずつで良いので、意識の比重を「文字を読む」→「聞く、それを言う」という方にシフトしていきましょう。
以下はイメージです。


(↑文字を見てシャドーイングしてもいいの?【文字=悪ではない話】より引用。)

手順③:シャドーイング(文字スクリプトなし)

いよいよ通常のシャドーイングです。
文字情報をまったく使わず、純粋に聞いた音だけ(耳だけ)を頼りに英語を口にしていきます。

はじめて補助輪を外して自転車に乗る時のように、はじめは少し心細いかもしれません。
た、これも繰り返していると「耳を使うこと」自体に少しずつ慣れてきます。

徐々に余裕も生まれてくるはずですので、前半で書いたシャドーイングの3つのポイント、

ポイント①:音源にしっかり耳を傾ける
ポイント②:モデル音から2語程度遅らせる
ポイント③:聞き取ったネイティブの音声と同じように発音する

ことがしっかり実践できるように、練習していきましょう。

そして、

  • 各単語の発音
  • 連結(リンキング)などの音声変化
  • 強弱のリズム
  • イントネーション
  • 息継ぎなどちょっとしたポーズや間
  • といったネイティブの音声特徴をできるだけ再現できるよにしていきましょう。

    3. シャドーイング練習:注意点について

    ここでは、シャドーイングでよく起きてしまう失敗や、注意点について書いていきます。

    • 注意点①:モデル音に引き離されたらワープする
    • 注意点②:頭の中の文字を読み上げないように
    • 注意点③:「暗記した文」をただ言うだけにならないように
    • 注意点④:練習がままならない場合は「積極的に」難易度を下げる
    • 注意点⑤:無理に意味内容まで理解しようとしない

    関連記事のリンクも貼っておきますので、気になる項目についてはそちらもご覧ください。

    注意点①:モデル音に引き離されたらワープする

    シャドーイングは、「聞いたものを元に、英語を口に出す」というのが前提です。

    よく「手順②:シャドーイング(文字スクリプトあり)」で起きてしまうのが、あまりに文字を読む方だけに必死になってしまい、モデル音から大きく引き離されてしまうパターンです。

    そしてやっている本人はなかなか気づけないことも多いです。
    これでは、モデル音があってもなくても全く関係なく、ただ本当に文字を読んでいるだけの練習になってしまいます。

    また「手順③:シャドーイング(文字スクリプトなし)」でも、途中で詰まってしまい、モデル音に置いていかれることがあります。

    モデル音に引き離されてしまった場合は、ワープしてまた入れるところから再スタートしましょう。

    できるだけ「モデル音を耳で知覚状態」「その知覚したものを順次口にしている状態」をキープするようにしましょう。

    注意点②:頭の中の文字を読み上げないように

    これは特に、手順①②→手順③に入ったときの注意点です。
    聞いた音声から、無意識的に頭の中で文字を思い浮かべてしまい、それを読み上げているような状態です。

    これは私自身も過去に経験があります。
    おそらく、それまで英語をリーディング中心で触れ、文字の方が強かったというのも影響していたかもしれません。

    これも実際やっていることとしては、ただ音読をしているのと同じような状態です。

    • NG:音を聴く → 頭の中で文字を想起 → それを読む
    • OK:音を聴く → 聞き取った音からそのまま発音する

    しっかり「音を媒介としたものまね」をできるようにしていきましょう。

    注意点③:「暗記した文」をただ言うだけにならないように

    この場合もやはり「音を聴く → それを言う」という本来のシャドーイングの形をとれなくなってしまいます。

    • NG:暗記して覚えているから、自分の口で言える
    • OK:音を聴き取ったから、自分の口で言える

    前者の場合は、外から入ってくる音声とはまったく関係ない練習になってしまいます。

    後者のように、耳から入ってきた音声が「どんな音なのか?」と頭で認知しようとするからこそ、その処理が鍛えられていきます。

    やはり大事なのは、シャドーイング3つのポイントでも書いた、流れてくる音にしっかり注意を向け、聴きとることです。

    注意点④:練習がままならない場合は「積極的に」難易度を下げる

    ここまで、できるだけ段階的に難易度が上がっていくよう手順を書いてきました。
    ただそれでも「うまくいかない..」「とてもじゃないけどできない…」 という場合もあると思います。

    この場合は、自分のレベルに合うよう積極的に調整して行きましょう。

    スピードを緩める

    やはり一番手軽で、レベルの調整もしやすいのが「スピードを緩める」ことです。

    「これは手に負えない…」と感じた場合は、調整をしてみましょう。

    スマホやPCの再生アプリを使って倍速を変更が可能です。
    0.7, 0.8倍速などからはじめ、反復して慣れてきたら0.9 → 1.0倍へと段階的にはやめていきましょう。

    注意を向ける対象を減らす

    また、「音声を聞きながら言う」というダブルタスクが大変な場合は、一旦「口の動きはつぶやき程度に抑える」というのも手です。

    それにより「純粋に音源を聞く」方に集中しやすくなります。
    » 参考:シャドーイングの声の大きさの使い分け【マンブリングのススメ】

    また、はじめ慣れるまでは、多少の細かいミスがあっても過度に気にしないことです。
    記事の前半で、シャドーイングでは以下をマネすることが大切と書きました。

    • 各単語の発音
    • 連結(リンキング)などの音声変化
    • リズム
    • イントネーション
    • 息継ぎなどちょっとしたポーズや間

    ただ一気にこれらすべてを意識しながらシャドーイングするのは、なかなか大変です。

    注意を向けるターゲットを絞る → 反復する → 慣れて余裕が出てくる → 他の点も意識するようにする → 反復する → 慣れる → …(の繰り返し)

    シャドーイングは、上記が基本方針としてとても大切です。
    無理なく練習を進めていくようにしましょう。

    注意点⑤:無理に意味内容まで理解しようとしない

    これも上記の「注意を向ける対象を減らす」と関連します。
    また、これについては前半でもすでに述べました。

    まずは「音のみに集中するシャドーイング」に注力しましょう。

    そこに十分慣れた段階、つまりある程度無意識にこなせるように「自動化」した段階で、「内容の理解もしつつのシャドーイング」に入るようにしましょう。

    (なお、音声のみに注力する練習を「プロソディー・シャドーイング」、理解まで意識した練習を「コンテンツ・シャドーイング」と呼びます。» 参考:【4つある】シャドーイングの種類について【使い分けも解説】

    4. シャドーイング練習:成果をあげるためのコツ

    最後はシャドーイング練習をさらに濃いものにし、効果を最大限に得るためのコツについてです。
    大きくは以下の2つです。

    • コツ①:「反復」を基本とすること。
    • コツ②:「細部の音の精度」を上げていくこと。

    ①:「反復」を基本とすること。

    コツというにはシンプルすぎる内容かもしれませんが、これがものすごく重要です。

    いくら手順を考えて取り組んでも、たった1回や2回練習しただけでは、なかなかスキルは向上しません。

    リアルタイムで進む会話で、瞬時に相手の発した音を聞き取ったり、ナチュラルな発音をスムーズに返せるようになるには、そういった音声に関する処理が「瞬時に」かつ「無意識的に」こなせるよう「自動化」していないといけません。

    そういう状態まで持っていくことで、会話中、より意識を割くべきに「やりとりしている話の中身やメッセージ」について集中できるようになっていきます。

    少しずつ楽にこなせる感覚を持てるように

    しっかりモデル音に耳を向け、そっくり発音しようとすることで、練習中は相当な集中力を必要とすると思います。

    ただその頭にかかる負荷が大事です。

    集中力を要するきついことでも、同じ動作や頭の中での処理を繰り返していると、同じことが楽にこなせるようになってきます。

    以下は、応用言語学者村野井(2006, p.95)による「自動化」についての言及です。

    携帯電話のメールを初めて使うとき、最初は誰でも相当時間がかかる。頻繁に使用することにより、多くの人は恐ろしい速さで、ほとんど自動的にメールを打てるようになる。[中略] この変化が自動化である。

    そしてさらに以下の通りです。

    自動化を促すのは [中略] 練習(practice)の頻度である。

    1日目よりも2日目、2日目よりも3日目と、少しずつ楽にこなせる感覚を持てることが大事です。
    少しずつそういった感覚を持てるよう、コツコツ練習していきましょう。

    コツ②:「細部の音の精度」を上げていくこと。

    反復(量)が土台にありつつ、今度は「質」についてです。

    シャドーイングをやっていると、必ず「うまくものまねできない…」という箇所が出てきます。

    何回やっても、同じところで詰まる..
    そもそもネイティブがどうそこを発音しているのか、よく聞こえない…
    どうしても自分の発音が日本語っぽくなる…
    etc.

    こう言った場合は、「自分が想定している英語の音」と「実際にネイティブが口にしている英語の音」の間に、大きくGAPがある可能性があります。

    こういったGAPを、練習で少しずつ埋め「自分で聞き取れる音・出せる音の精度」を上げて行くことが大切です。

    ですが、音声を繰り返し聞いているだけでは、なかなかその違いを把握するのが困難なこともあります。

    よくあるGAPの例

    英語は「1単語ずつ分けて」発音したときと、複数の単語を「つらなりで」発音したときとで、その印象が大きく変わります。
    (実質的に音も変わっています。)

    たとえば、take a look at という表現では、以下のようになります。

    1単語ずつ:「ティク ア ルク アト」/teɪk ə lʊk æt/

    つらなり:「ティカルカッ」/teɪkəlʊkə/

    具体的に起きている変化としては以下です。

    ・takeとa、lookとatが【連結】し、「テイカ」と「ルカト」のように。
    ・atのお尻のtは【脱落】し、「アッ」のように。

    こういうものを「音声変化(Phonological modification)」と呼びます(Buck, 2001)。

    このような変化が起きているにも関わらず、take aとlook atを「それぞれ分離した2つの単語の音で聞こえるばず!」と、atのtについて「トゥという音が聞こえるはず!」と聴き取ろうとしても、いつまでもそのようには聞こえて来ません(そもそもそう言っていません)。

    「ティカルカッ」という音声として耳で認識し、「ティカルカッ」という音で発音しようとすることが大切です。

    また先ほど、手順②のオーバーラッピングのところでも少し触れたましたが、「リズム」についても日本語と英語ではかなり事情が異なります。

    • 日本語 → 基本すべての語は同じ強さで等間隔で発音
    • 英語 → 機能語は短く弱く、内容語はストレスをおき、たっぷり発音

    こういった違いを意識せずに日本語のリズムをそのまま英語に持ち込んでしまうと、どうしても一本調子で早口な英語の発音になってしまうことが多くなります。

    英語における「機能語は短く弱く」というのは、そうとう意識的に練習してテコ入れしていかないと、なかなか改善できません。

    このあたりは、日々日本語の感覚に慣れ切ってしまっている私たちにとって、ただシャドーイングを何回も流すだけでは、なかなか気づきにくいところです。

    対策:立ち止まってGAPを「分析」する。

    こういった箇所は、「実際の英語の音が、自分の思っている音とどう違うのか?」ということを分析してみることが大切です。

    その時に「どういったときに音声変化が起きるのか?」「英語はどんなリズムなのか?」といった「英語の音声についての知識」が役に立ちます。

    • うまくこなせない箇所を、上記のような知識を用いて分析
    • ネイティブの発音がどうなっているかをまず頭で理解
    • その音を意識しつつ、練習の中で繰り返して自分のスキルにしていく(自動化する)

    こういった流れで、少しずつ英語ならではの音の感覚を養い、自分のシャドーイング中の発音を、モデル音のネイティブに近づけていきましょう。

    なお分析のために役立つ知識としては、以下が参考になります。

    また、違いを分析した上で、それを自分のパフォーマンスにうまく取り入れて身につけていく手順については、以下も参考ください。

    さいごに

    以上、シャドーイングのやり方についてでした。

    シャドーイングはレベルの高い練習ですし、独学で進めていると「どう練習を進めていけばいいのか?」「何をこだわって何は捨てても良いのか?」など、なかなか判断できないときもあると思います。

    もちろん常に本記事通りの手順で進める必要はありません。
    何を重視するかは、その時々や、個々の学習者の状況によって変わるものと思います。

    ご自身の学習を進める中で、練習の仕方についていろんな判断をする際の材料として、ぜひ参考にされてみてください。

    おわり


    ーーー
    【参考文献】
    Brown, G. 1990. Listening to spoken English. 2nd ed. Essex: Longman Group UK.

    Buck, G. 2001. Assessing listening. Cambridge: Cambridge University Press.

    Hamada, Y. 2014. The effectiveness of pre- and post-shadowing in improving listening comprehension skills. The Language Teacher. 38 (1), pp.3-11.

    門田修平. 2018. 『外国語を話せるようになるしくみ:シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム』 東京:SBクリエイティブ.

    村野井仁. 2006.『第二言語習得研究から見た効果的な言語学習法・指導法』東京:大修館書店.