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英語の音読中、脳内で和訳はOK?【直読直解のコツも解説】

音読

「音読が大事と聞いてやってる。けど、読みながら頭の中で和訳するのって合ってるの?」
「普段から日本語に訳すやり方に慣れてるし、どっちなんだろう?」
「正しいやり方やコツを知りたい。」

今日はこんな疑問に答えます。

本記事の内容

  • 英語の音読中、頭で和訳していいの?【訳して理解する訳読法と音読との違い】
  • うまく音読に移行するために必要なこと【直読直解への道】

英語の音読中、頭で和訳はしていいの?【訳して理解する訳読法と音読との違い】

まずは結論です。

音読中、できるだけ頭の中で和訳するのは避けましょう。

理由ですが、まず実現可能性という点。
英語を読みながら同時に日本語も思い浮かべて理解するというのは、相当難易度の高い作業であり、おそらくうまく実践することはできないと思います。

また、仮に実践したとしても、日本語と英語は語順がかなり違います。

そのため、音読中、和訳をすると、実際に読んでいる箇所と日本語の意味を思い浮かべている箇所が一致しない、というチグハグな状況も生まれてしまいます。

なので、音読は内容を理解して読みつつも、和訳はせず取り組んで行きましょう。

と、一旦の結論としては以上のようになりますが、おそらく「音読で和訳するの?」と疑問に思われた方は、これまで「英語を日本語に訳して理解する」という勉強を、少なからず経験されてきた方ではないかと思います。

「訳して理解する勉強法」と「音読」は、その目的や役割が異なります。

ここからは、違いについて深掘りをし、どのように両者を使い分け、差別化をしながら学習していけばいいかを解説します。

またそれと合わせて、日本語に頼らない直読直解力を身につけるための音読練習法についても解説して行きたいと思います。

では行きましょう。

訳して理解する勉強法(訳読法):その意義とは?

訳読法とは、学校や受験英語の勉強の場でよく採用されている勉強法の1つです(いわゆる精読もこれがベースとなっていると思います)。

英文を1文ずつ語彙や文法、文構造といった観点で分析し、正しく文意をとっていく勉強法です。

その際、日本語に訳すという作業も行い、文意がきちんと理解できているかということを確認して行きます。

この勉強法の一番のメリットは、「正しく英語の文意を理解できるようになる」という点です。杉山(2013, p.119)によると、訳読の特徴は以下のようにまとめられます。

  • 訳読によって、構文や語句の把握に誤りがないか、何となくの理解ではなく、意味を正確に取れているかを判断できる
  • 英語と日本語を往復し比較する中で、英語と日本語の似ている点や相違点を意識的に理解できる
  • そのプロセスの中で、必要な英語の語彙や文法知識を効果的に学習できる

上記のようになります。

そもそも英語は、日本語とは文法面などでほとんど共通点のない言語間距離の遠い言語です。

そのような言語を新たに学ぶには、我々の母語である日本語も使いながら、両者の言語の違いを意識的に学んでいくことが不可欠です。

和訳するというプロセスを通して、語彙の意味や、日本語と英語との文構造の違いなどを明確に意識し、英語についての言語知識を学習して行きます。

一方、音読の意義とは?

訳読は、「新しい知識の獲得」と「正確に文意を取れるようになる」ということに主眼がありました。

これに対し音読は「既に持っている知識を使う」ことに主眼があります。
では何のために使うかというと、「英語の文章をスピーディーに理解するため」です。

音読では、「文章の内容を理解する」ということを第一目的にして、目にする文をどんどん読み進めて行きます。理解しようとする中で、脳が語彙や、文構造・文法といった処理をして行きます。

これを何度もくり返すことによって、理解に必要な各処理が「自動化」して行きます。

その結果、あらゆるリスニング、リーディングの場面で通用する、実戦的・実用的な理解スキルを得られます。

なお、実際の場面でパッと使える運用力を目指すため、「日本語の訳を作る」ということは前提とされていません。

むしろ、日本語には訳さず、英語をそのままどんどん理解してける「直読直解」の習得を目的としています。

(※音読がどんな言語処理を鍛えるのか、詳しい効果については、音読の目的・効果とは?【なぜ英語力アップに効くか理由も解説】も参考ください。)

訳読法と音読の違いまとめ

以下、訳読法と音読の違いのまとめです。

訳読が知識の習得と正確性にフォーカスがあるのに対し、音読は実践でこなせる運用力にフォーカスがあります。

訳読は音読の前段階として必要

何だか訳読より音読の方が実用的で優れている印象を受けてしまいますが、そうではありません。

上記表の「スキルが役立つ場面」にも記載していますが、訳読は音読の前段階の勉強法として重要です。音読はスピーディーな英語の運用力を伸ばすための練習ですが、当然それは「正確さ」を伴っていないといけないからです。

先ほども書いたように、英語と日本語は距離の遠い言語であり、はじめは日本語訳も利用し意識的に言語の違いを理解していくということが不可欠です。

訳読の勉強法は、

直読直解ができる段階に達するまでの橋渡し
(杉山, 2013, p.119)

として捉えることが大事です。

ですがもちろん、英文をただ訳して読むだけでは実用的な理解スキルは身につきません。

はじめは和訳も活用しながら正しく文意を理解できるようになりつつ、そこから音読を利用した練習にも取り組み、スピーディーに英語の文章を直読直解で理解できる力を身につけて行きましょう。

訳読から音読にうまく移行するために必要なこと【直読直解への道】

ではさらに話を進めて、訳読から音読へ移行する際、どのようなことに気をつけて練習をしていけばいいのでしょうか?

直読直解スキルに近づくために、音読で気をつけるポイントは以下の2つです。

  • ① 音読中、和訳をせず内容を把握していく
  • ② 英語の語順で意味をとる訓練をする

順番に解説します。

① 音読中、和訳をせず内容を把握していく

まずは、日本語に変換せず理解するよう意識して行きましょう。

日本語を介さず直読直解ができるようになるためには、英文を見たら、それが表す事柄や概念・イメージをその文から直接つかまないといけません。

ただ、大げさに考える必要はありません。

例えば、以下の英文。

My name is Paul.

これを見て、おそらくいちいち日本語に訳さなくても、内容は直感的にわかるのではないでしょうか。

もう1つ例です。

He lives in Tokyo.

これも「あぁ、お住いが東京なんだな〜」という内容の理解が、日本語に頼らずともできると思います。

もし反射的に日本語が思い浮かんでしまった方は、今度は日本語を思い浮かべずトライしてみてください。誰か具体的に東京の友達を思い浮かべながら読んでみるといいと思います。

スクリプトは問題なく理解できる簡単なものを選ぶ

一方で、もし文学的な内容の文章で、語彙も文構造も複雑なスクリプトだとしたらどうでしょうか。

この場合、どうしても直感的に理解しずらいため、思わず和訳をしてしまいたくなるのではないかと思います。

ですが、ここまで確認してきたように、音読の主眼は、新たに高度な語彙・文法を得ることではありません。持っている知識を自由に使いこなせるようにすることです。

なので音読では、既に持ってる知識で十分対応できる程度のスクリプトを選びましょう。

日常でもよく見聞きする身近な内容、基本的な語彙・文法のものであれば、直接内容のイメージも湧きやすいと思います。

普段、訳読で使っているものよりも言語レベルを落とし、またトピックについても状況が想像しやすい身近なものを選びましょう。そこから少しずつ、「見た英文 → 直接理解」という感覚をつかんで行きましょう。

より具体的なスクリプトの選び方や、音読の取り組み方については、以下の記事に詳しく解説していますのでご覧ください。

② 英語の語順で意味をとっていく訓練をする

もう1つ、和訳が主体の勉強から、直読直解へ移行するために必ず超えないといけないのが、この「語順」という問題です。

つまり、英語を英語の語順で「左 → 右に」理解できるようにする、ということです。

英語は日本語と語順が異なります。
例えば以下。

このように英語と日本語では、ほとんど順番が逆になっています。

大西&マクベイ(2017, p.xxiii)が指摘するように、英語は、

説明が後ろにどんどんつけ足されることば。右へ右へ伸びていくことば

です。そしてこの語順の特徴は、

語順が英語とは逆の日本語を話す私たちにとって特に重要なルール

でもあります。

仮にこの英文を、日本語的な頭の使い方で理解、和訳しようとする場合、

このような流れが、自然な理解の仕方や訳し方になるでしょう。

もう1つ、より複雑な文でも見てみましょう。

Ondoku is the method that has been used to improve comprehension skills in Japan.

これを日本語的に理解しようとすると、以下のような流れになってしまうと思います。

訳読では、上記のような英語本来の語順に逆らう英文の捉え方で事が足りていました。
むしろ「返り読み」をして自然な日本語に訳すことで、文意を明確につかみ、英語と日本語の語順の違いもハッキリわかる形で理解することができました。

ですが、直読直解を目指す上では、別途「英語の語順通りに順番に理解していく」というスキルを身につけないといけません。

「左 → 右に理解する」という行為を、意識的に取り組むような訓練が必要です。

左 → 右に理解する訓練:スラッシュリーディング

ここにスラッシュリーディングに取り組む意義があります。

スラッシュリーディングでは、1つの文をより小さく扱いやすい「意味のかたまり」ごとに切り、そのかたまり毎に左 → 右に順に理解をする練習です。

例えば先ほどの「Ondoku is…」の例文では、以下のように理解をして行きます。

上記の通りです。

この文は、

・関係代名詞節
・to不定詞句
・前置詞句

といった後置修飾がどんどん後ろに加わっています。

ですが上記のように、意味のかたまり毎に理解していけば、① → ② → ③ → ④の順でも問題なく理解できると思います。

「文」ではなく「小さな意味のカタマリ」で理解

そもそも英文を読むとき、1文丸々を一度に理解しようとすると、返り読みが生まれる原因になってしまいます。

上記Ondoku is…の例文だと、いきなり④へ飛んで理解するという現象が起きてしまいます。

ですが英語を1文丸ごとではなく、意味のカタマリ単位でその順番で理解することで、”日英の語順の違いから解放される” という利点につながります。(湯舟, 2010, p.3)。

このような理解の手順をしっかり反復し身につけると、訳読でやっていた「返り読み」に頼らずとも、英文を前からどんどん理解できるようになって行きます。

直読直解スキルの習得へ大きく近づき、それによって英語の文章をスピーディーに理解できるスキルにも繋がるでしょう。

スラッシュリーディングについて詳しくは、以下もあわせて参考ください。

まとめ

今日は、音読中和訳をするのかどうか?、訳読と音読との違い、また実用的な直読直解スキルを身につけるためのポイントでした。

音読練習のときの参考にされてみてください。

なお、音読の練習密度を上げるため、本記事で紹介した以外の練習テクニックについても詳しく知りたい方は、以下も合わせて参考ください。
» 英語音読の総まとめ【基礎知識〜実践テクニックまで網羅】

おわり


ーーー
【参考文献】
大西泰斗, ポール・マクベイ. 2017. 『総合英語FACTBOOKこれからの英文法』東京:桐原書店.

杉山幸子. 2013. 文法訳読は本当に「使えない」のか? 『日本英語英文学 = Studies in English linguistics and literature』23, pp.105-128.

湯舟英一. 2011. 英文速読におけるチャンクとワーキングメモリの役割.『Dialogue : TALK紀要』9, pp.1-20.