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英語音読における繰り返しの大切さ【繰り返す際の注意点も解説】

音読

「英語の音読は、『1回だけじゃなく何度も繰り返し取り組むことが大事!』って聞いたけどなんでなの?」
「きちんと理由を理解して練習に入りたい。」
「あと繰り返すときに、注意すべきこともあれば合わせて知りたい。」

今日はこんな疑問に答えます。

「繰り返しの練習」は、英語力を身につけるために必要な1つの要素です。

では音読の繰り返しで得られる力とはどんなものなのでしょうか。今日は、なぜそのような繰り返しが大事なのか、また、音読を繰り返し練習する際に陥りやすいポイントや注意点についても書いて行きたいと思います。

本記事の内容

  • 英語音読における繰り返しの大切さ:その理由とは?
  • 英語音読を繰り返し練習する際の注意点

今回も主観に寄りすぎないよう、人の認知的な側面からも繰り返しの効果について見つつ書いて行きたいと思います。

それでは行きましょう。

英語音読における繰り返しの大切さ:その理由とは?

音読での「繰り返し」は英語力を身につけるために重要です。

理由は、音読の繰り返しにより「英語スキルの自動化」を促すことができるからです。

自動化とは、

ある知識をスピーディーかつ無意識的に使えるようにして行くこと

であり、英語学習では欠かせない要素の1つです(Johnson, 1996)。

どういうことか、詳しく見て行きましょう。

自動化で、英語を流暢に理解する力をつける

音読で、英文を理解しながら取り組む際、脳では語彙・文法・意味処理などの情報処理に取り組んでいます。

例えば、以下の英文を音読する場合を考えてみましょう。

Repeating a behaviour you want to learn many times is essential to make it automatic.
(= 身につけたいある行為を何度も繰り返すことは、それを自動化するのに必要不可欠です。)

上記のような英文を音読する際、読み進める最中脳内では以下のような認知的な情報処理が行われています。

<語彙レベル>
repeating = ●● という意味
behaviour = △△ という意味
want to = ■■ という意味
など、語彙の意味を長期記憶から引き出してくる処理
<文法レベル>
・repeating ~ many times までがS
・SVCという文構造で意味は「S=C」
・makeOCの文構造で意味は「O=Cにする」
など、文構造のパターンを見出す処理
<意味レベル>
上記の語彙・文構造の情報から、
・たくさんの繰り返しが重要
・それによって自動的にできるんだな!
といった、その節や文が表す内容を見出す処理

例えば上記の通りです。

自動化を促進するキーファクターは、その処理に取り組む「頻度」です(村野井, 2006)。

もし内容を理解しようと繰り返し音読に取り組んだ際は、上記のような脳内処理にも何度も取り組むことになり、それによって処理が自動化していきます。

回を重ねることで、少しずつではありますが、意識的に考えなくても素早く語彙の意味が想起できたり文構造パターンを認識できたり、そこから文意を想起できるようになっていきます。

英語は「知っている」だけではNG、使える「スキル」にすることが大切。

「実戦で役立つ英語力」を考えるときに、

  • スピーディー
  • かつ、無意識的にそれができる

というのは、とても重要な要素です。

このような条件が揃って初めて、実戦でも使い物になる力と言えるからです。

例えば、英文を読み進めている間に、

えっとこの単語の意味は…
えっとこの文の構造はここが修飾になっているから…
etc.

などと、いちいち立ち止まって考えていたのでは、読み進めるのにとにかく時間がかかります。

それに加え、各文各単語の細部に多くの意識が割かれてしまうため、常に脳のワーキングメモリの容量をいっぱいまで使う「余裕のない読み」になってしまいます。結果、

  • 読み進めていてもすぐ頭が疲れる
  • 1文の意味をやっととっても、すぐに忘れてしまう
  • 通読しても文章全体でどういった内容だったのかよくわからない
  • といった、状況にもなってしまいます。

    ですが、音読のような練習を通して脳内処理が十分に自動化できていると、そもそも意識的に考えなくても、

  • 単語を見たら、勝手にその単語の意味が瞬時に思い浮かぶ
  • 無意識的に文構造パターンを判断できる
  • それにより、その節・1文の意味も素早く想起できる
  • といった状態になります。その分、1文ごとに消費する心的エネルギーも少なくて済むため、

  • 読んでいてもあまり疲れない
  • 読んだ内容を覚えておく余裕がある
  • 文章全体のマクロな視点で内容を整理して理解しやすくなる
  • といったことにも繋がってきます。

    ここまで行くと「実戦で通用するスキル」と言うことができます。

    応用言語学者の門田(2012, p.20)は、

    知っていること」と「できること」とはまったく別物である [中略] なんとか「知っている」状態を「できる」状態に転化することが必要

    と著書の中で述べています。

    この意味で音読は、新しい知識を入れるための「勉強」というよりは、実際できるようにするための「練習」であり、実際に何かを「できる」ようにするための練習と言えます。

    繰り返しによる自動化効果によって、このような実用的なスキルへと繋がるのです。

    英語で音読を繰り返すときの注意点

    ここまで、

    • 音読を繰り返すことで
    • 各言語処理が自動化
    • 実用的なスキルへつながる

    ということを解説してきました。

    ですがいざ練習をしようと思っても、繰り返しの練習は一見毎回やることが同じであるため、少しやり方を間違えると全く効果が上がらない、ということにもつながってしまいます。

    ここからは、それを避けるための注意点について見て行きましょう。

    繰り返し練習の際気をつけるポイントは、大きく以下の3点です。

    • ①:繰り返すこと自体が目的化しないように
    • ②:暗記にならないように
    • ③:間違ったスキルを身につけないように

    順番に詳しく、解説して行きます。

    ①:繰り返すこと自体が目的化しないように

    「とりあえず繰り返せば良い」と思い、英文をただ声に出して読んで行くようにはならないよう気をつけましょう。

    これだと実質的に取り組んでいる脳内処理としては、「見た文字を声に出す」という部分に関わる処理だけになってしまいます。その一方で、他の語彙、文法、意味といった脳内処理には、ほとんど取り組んでいないことになってしまうからです。

    「見た文字を脳内で音に変換する」という処理は「音韻符号化」と呼ばれ、これ自体は読解を支える重要な要素の1つです(門田, 2012)。ですが、ただ声に出して繰り返すだけでは、主にこの音韻符号化だけしか自動化させることができません。

    大事なのは、毎回きちんと英文を「理解しようとして読む」ことです。それによって、他の語彙や文法といった処理も回りはじめ、繰り返すことで自動化していきます。

    大原則として、

    私たちは、実際に「やったこと、処理したこと」を学習します。[中略] 「やっていないこと、処理していないこと」は、学習も記憶形成もできません。

    (門田, 2012, p. 318)

    ということを覚えておきましょう。

    とはいえ、戦略的に「声を出すだけ」という練習もありです。

    音読は、「声を出す」+「理解する」の両方が同時に求められる負荷の高い練習法です。

    どうしても声を出すことに一生懸命になり、理解まで十分取り組めないというケースもあると思います。

    その場合は、

    • あえてはじめは声を出すことだけに集中する
    • それによって、先に音韻符号化の方を自動化し、楽にこなせるようにしておく
    • 少しずつ「理解」にも意識を割いてくようにする

    というのも手です。

    状況に応じ脳にかかる負荷を調整しながら進めて行きましょう。
    この辺りの詳しい方法については、以下も参考ください。

    ②:暗記にならないように。

    これは「繰り返し」につきまとう、副作用的なものですね。

    繰り返す中で、スクリプトの内容をある程度自然に覚えて行くのは問題ありませんが、「さっき一回読んで暗記したストーリーや内容を、ただもう一回思い出しているだけ」ということにはならないよう注意しましょう。

    これだと、「目の前の英文に処理をかけて意味を見出している」というわけではないため、理解に必要な語彙・文法といった処理を使ってないことになってしまいます。

    結果、使わない処理は自動化して行きません。

    これを避けるためには、「毎回初見のつもりで読み、目の前の英文から情報を得る」という意識が大切です。

    この暗記に関わる問題については、以下の記事でも詳しく取り上げていますので合わせて参考ください。

    ③:間違ったスキルを身につけないように。

    ここまで「繰り返しにより、そこで取り組んだ脳内処理を自動化して行く」というのが本記事の主旨でした。

    ただ、その自動化される脳内処理が必ず正しいものである、という保証はありません。

    例えば、極端な例ですが、repeating を「一回だけ行う」という意味で捉え何度も音読すれば、

    文字で “repeating” を見る → 「一回だけ行う」と言う意味が瞬時に思い浮かぶ

    といった、間違った処理が自動化されてしまいます。

    このような間違ったスキルが固定化してしまうことを「化石化」と言いますが、こういうものが長きに渡って放置されてしまうと、後から修正するのも大変です(白井, 2008)。

    間違ったスキルを身につけてしまわないよう、意味があやふやな英文箇所については、語彙・文法的にも分析して正しく意味を確認するようにしましょう。

    また、常に英語を日本語に訳しながら音読をするのも、

    英語 → 日本語 → 内容理解

    という処理の流れが自動化されてしまい、なかなか、

    英語 → 理解

    といった、本来目指すべき処理が自動化されていきません。

    もし和訳すことに慣れてしまっている場合は、少しずつ「英語から直接理解する」ということに慣れ自動化させていくようにしましょう。これについても詳しく解説していますので、以下を参考ください。

    まとめ

    以上、音読における繰り返しの重要性についてでした。

    普段の音読の練習が、より効果的に進められるよう参考になると幸いです。

    なお音読の練習密度を上げるため、本記事で紹介した以外の練習テクニックについても知りたい方は、以下も合わせて参考ください。
    » 英語音読の総まとめ【基礎知識〜実践テクニックまで網羅】

    おわり


    ーーー
    【参考文献】
    Johnson, K. 1996. Language teaching and skill learning. Oxford: Blackwell.

    門田修平. 2012. 『シャドーイング・音読と英語習得の科学』 東京:コスモピア.

    白井恭弘. 2008. 『外国語学習の科学: 第二言語習得論とは何か』東京:岩波書店.

    村野井仁. 2006.『第二言語習得研究から見た効果的な言語学習法・指導法』東京:大修館書店.