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英語の音読は小声でも効果ある?【小声でも効果を最大化する方法】

音読

Illustration from Icons8

「音読をしたけど、声を出せるような環境じゃない。」
「周りにも気をつかってしまうし、なかなか集中できない。」
「小声でしか音読ができないけど、それでも効果は出るの?」

今回はこんな疑問に答えます。

せっかく音読を頑張ろうと思っても、このようなことが気になると、不安になり迷いも出てしまうと思います。

そんな前向きな気持ちが無駄にならないよう、「小声でもきちんと効果はある」ということを理由とともに書いていきたいと思います。また後半では、小声でも音読の効果を高めるための方法についても触れて行きます。

本記事の内容

  • 英語音読って小声でも効果ある?
  • 小声の音読でも効果を最大化するために。

なお私が過去に海外の大学院で英語教授法(TESOL)を学んでいました。今回も主観に寄り過ぎないよう、応用言語学分野から関連する文献も参考にしつつ、私なりの考えを書いて行きたいと思います。

それでは行きましょう。

英語音読って小声でも効果ある?

結論としては、あります。
努力は無駄にならないので、自信を持って進めていきましょう。

小声でも言語処理はちゃんと回せる。

効果がある理由としては以下です。

声量の大小に関わらず、音読中「英語理解に必要な言語処理」をしっかり回しながら訓練をすることは可能です。そうやって繰り返し取り組んだ処理は徐々に自動化していき、最終的には、スピーディーかつ無意識に行えるようなスキルへと変わっていくからです。

英語理解に必要な言語処理とは?

例えば以下のようなものです。

①:目にした単語の意味を認識する(単語認知)
②:単語どうしの並びから、文構造を見出す(文法処理)
③:①と②から、1文全体での意味を見出す(意味処理)
④:文どうしの意味をつなげ、文章全体でのメッセージの理解
etc.

もし音読で「内容を理解しよう!」という意識で取り組んだ際には、必然的にこういった処理に取り組むことになります。

具体例:1文単位で

例えば以下のような文を読むとします。

Ondoku with small voice can also make your comprehension skill better.
(小声での音読でも、理解スキルを向上させることはできる。)

もしこれを理解しながら読もうとし、文の内容をきちんと掴めた場合には、脳内では以下のような処理に取り組んでいることになります。

<①単語認知>
・small voice → あまり声を出さないことをイメージ
・comprehension → 何か内容を理解する行為をイメージ
・better → 現状よりも良い状態をイメージ
といったように、各単語の内容を長期記憶から引っ張ってくる。
<②文法処理>
・makeを読んだあたりからSVOC構造のパターン認識
・Sが[原因]で、O=Cという[結果]になる、というような内容になるな
といったように、文法的に処理。
<③意味処理>
上記、①・②の情報を総合して、
「小声の音読でも理解スキルが向上できるってことだな」
とその1文全体が表すメッセージをつかむ。

音読中、このような処理に何度も取り組み自動化できると、他の英文で同じような語彙や文法を含むものに出会ったときも、すぐにその単語の意味や文構造を認識し、そこから英文の意味内容まで想起できるようになって行きます。

具体例:文章全体での内容把握

また、多くの場合、文章には「情報の流れや展開」というものがあります。
それを意識して音読に取り組むことで、文の流れを予測しつつ理解していくことも慣れて行きます。

例文で見てみましょう。

[1] Ondoku with small voice can also make your comprehension skill better. [2] This is because you can use your brain fully. [3] For example, you have to quickly recall each word meaning, recognize sentence structures and see what the sentence is saying as a whole. [4] Therefore, ondoku is a good way even if it is done in small voice.
[1]小声での音読でも、理解スキルを向上させることはできる。[2]これはなぜなら、脳をしっかりと使えるからです。[2]たとえば、素早く各単語の意味を思い出したり、文構造を認識したり、その文が全体として何を伝えたいのか見出す必要があります。[4]なので、たとえ小さい声で行ったとしても、音読は良い練習法です。

上記は、[1]主張 → [2]理由 → [3]具体例 → [4]結論となっており、主張を展開する文でよくみられる論理展開になっています。

This is because(これはなぜかというと〜)、For example(例えば〜)、Therefore(ゆえに〜)などディスコースマーカーも目印に「情報の流れや展開」を意識しながら音読ができると、また同じようなタイプの文章に出会った際に、頭の中で情報を整理しつつ読みやすくなっていきます。

もちろんこれは1例過ぎませんので、普段目にする多くの文章でこれをそのまま使えるわけではありません。

ただ大切なポイントとしては、1文の意味取りだけではなく、「文章全体でどんな情報の流れで展開されているか」ということも意識して理解することで、文章パターンに慣れたり、次にどんな情報が来そうか予測しながら読み進める習慣が身について行きます。

音読でここまで意識できると、とても良い練習になります。

小声だったとしても、声は出しているという事実

たとえ小さくても声を出しているということは、頭の中で「見た文字を頭の中で音声化する」という脳内処理を、完全とは行かないまでも取り組んでいることになります。

実はこれにも大切な効果があります。

単語を見てから意味想起までをスピードアップ

人は、単語の意味を引き出してくる際、

[単語を見る] → [それを一旦脳内で音声化] → [意味を想起]

という認知プロセスを踏んでいるとされています。

音読で声を出して練習することで、黙読よりも意識的にこの真ん中の音声化処理を取り組むことになります。それにより、そこの処理を自動化させることができ、結果、上記の「単語を見る〜意味認識」までの一連のプロセスを素早く行えるようになることが期待できます(門田, 2007, 2012, 2015)。

たとえ小声だったとしても、声に出しているということは、少なからず頭の中での音声化に取り組んでいることになり(でないと声に出せない)、上記一連の処理スピードを向上できると考えられます。

素早い単語認識 = スムーズなリーディングの基礎

リーディングにおいて、

目にする1つ1つの単語の意味をどんどん確定させていけることが、スムーズな読みには必要

ということは、容易に想像ができると思います。

音読では、この最も基本的なスキルを鍛えることができます。

そして、各単語を頭が勝手に認識できるほど自動化することで、余った頭のリソースをより純粋に「内容を理解する」方に集中させやすくなり、全体としてより安定した読みを行えるようになって行きます。
» 参考:【仕組みから理解】理想の英語リーディング力とは?

結論:小声でも練習に深みを出すことはできる。

以上のようなことから、小声でも効果が十分期待できると思います。

英語だけに限りませんが、スポーツでも楽器の練習でも、何を意識して取り組むかということがとても大事です。

これを人の認知的な側面から言い換えると、

練習中どういった脳内処理を起こしながら練習するのか

ということです。

たとえ小声だったとしても、毎回の練習をテーマを持って適切に取り組むことができれば、狙ったような脳内処理は起こすことができ、しっかり鍛ていくことができます。

小声の音読でも効果を最大化するために

ではここからは、小声の音読でもしっかり効果を出せるよう、そのポイントを解説して行きたいと思います。
テクニック的なものも含め触れて行きますので、よければ参考にされてみてください。

理解しながら行う。

まず大前提ですが、これを大切に音読を進めて行きましょう。

前半でも触れた通り、理解しようと読むことで理解のための一連の脳内処理を回していくことにつがなり、取り組んだ処理が自動化されて行きます。

「さっき暗記した内容をただ思い出す」ということにならないよう注意です。
毎回初見のつもりで、読んでいる文章から「情報をとる」という意識で読んでいくようにしましょう。

では音読中、そのような「理解」により集中しやすくするようには、どんなことが大切なのでしょうか?

スクリプトレベルは基本難し過ぎないものを使う。

知らない単語が多かったり、毎回立ち止まって文構造を分析&日本語に訳すということをしないといけないような文章では、なかなかメッセージの理解に集中することができません。

音読は、新しく単語や文法の知識を学ぶ「勉強」というよりも、その知識を自由に使えるようにする「練習」という意味合いが強いです。

基本は、調べたり立ち止まって分析しないといけない部分は「全体の1割以下」というものを使いましょう。

このスクリプトの選び方については、過去に詳しくまとめています。
以下を合わせてご覧ください。

徐々に日本語訳から脱する。

もし一度訳して理解している場合は、少しずつ、

英語 → 日本語 → 理解

ではなく、

英語 → 理解

とできるよう、意識しながら練習して行きましょう。

そのためには、その文章が扱っているトピックについて想像しながら読んだり、文章が表している状況も想像し、目の前の英文を理解していくことが大切です。

先ほどの、

[1] Ondoku with small voice…
[2] This is because …
[3] For example, you …
[4] Therefore, ondoku is…

の英文だと、小声で音読するとはどんな行為なのかその状況や場面を想像したり、その時の頭の使い方についても自分なりに想像しつつ読んでみましょう。

そうすることで、文脈や背景知識の力を借りられるので、直接「英語 → 理解」とやりやすくなって行きます。

もちろん慣れるまで、部分的に日本語に混ぜて理解して行っても大丈夫です。
少しずつ日本語から英語に移行して行けるようにして行きましょう。

直読直解スキルを身につける。

上記のように、「日本語に訳さない」ということと合わせて、

返り読みをせず、英語を左→右に順に理解する

という点も、流暢なリスニングやリーディングの理解力を身につけるにはとても重要です。

日本語と英語は語順が非常に異なり、日本語の感覚で理解しようとすると大変非効率な読み方になってしまいます。例えば以下です。

このように英文を、右往左往するような理解の方法だと、理解に時間もかかり、頭の中の情報処理も煩雑になるためすぐ内容を忘れてしまったりしてしまいます。

また、もちろん音読では左→右に読むとは思いますが、上記のような日本語的な理解順序が基本になってしまっていると、「Ondoku」を一番はじめに読んだとしてもそこの意味想起はスルーしてしまう、という現象も起きてしまいます。

つまり、実際に読んでいる箇所と、頭の中で理解したい順番が噛み合ってないチグハグな状態になってしまいます。

英語に限らずすべての言語は、「左から右へ順々に理解できる」ことが重要です。そのような理解の仕方を意識的に身につけるには、「スラッシュリーディング」を音読に取り入れていくことも有効です。

少しずつ直読直解へ近づけるよう、意識して練習をして行きましょう。

普通の声量で音読できるタイミングがあれば有効活用。

前半で述べたように、小さくても声を出して音読することは、

  • 脳内での単語の音声化を自動化する
  • それにより、単語の意味認識を速める

という点で重要です。

ただ、どうしても普通に声を出すよりは、自分の発音がどのようなものかをクリアに聞くことが難しくなってしまいます。

もし普通の声量で練習できるタイミングがあれば、そこでは声を出すようにして、抑揚なども含めて自分の発音を少し意識するようにしましょう。

そこで得られた発音の感覚を、また小声の音読でもイメージしながら、音読できると良いと思います。

もしそのようなチャンスがあれば、その時間を積極的に使うようにしましょう。

まとめ

以上今回は、「小声でも音読は効果ある!」という内容でした。

この記事を読まれている方は、「声を出せる環境がない、けど何とか練習はしたい!」というとても熱のある方と思います。

取り組み方次第で、練習の質や効果は確実に上げていくことができます。

本記事が少しでも練習時の参考になると嬉しいです。

なお、音読の練習密度を上げるため、本記事で紹介した以外の練習テクニックについても詳しく知りたい方は、以下も合わせて参考ください。
» 英語音読の総まとめ【基礎知識〜実践テクニックまで網羅】

おわり


ーーー
【参考文献】
門田修平. 2007. 『シャドーイングと音読の科学』 東京:コスモピア.

門田修平. 2012. 『シャドーイング・音読と英語習得の科学』 東京:コスモピア.

門田修平. 2015. 『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』 東京:コスモピア.