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シャドーイングと音読の違い【効果の違いや取り組む順番も解説】

シャドーイング 音読

シャドーイングと音読ってどんな違いがあるの?
効果の違いがよくわかってないので知りたい。
普段の学習にどう取り入れていけばいいの?

今日はこのような疑問に答えます。

シャドーイングと音読は、よくセットで語られる英語学習法です。
それ故、あまり明確な違いを意識して使い分ることは少ないかもしれません。

ですが2つは、鍛えられるスキルや、カバーする効果が異なります。

違いを知らないことで、普段の学習でうまく使い分けができない、結果、意図したように効果が得られない、ということも起こってしまいます。

今回は、シャドーイングと音読の効果の違いを整理し、具体的に学習でどのように使い分けるかまで解説して行きます。効果的に学習を進められるよう、2つの違いをクリアにしていきましょう。

本記事の内容

  • 1. シャドーイングと音読の違いとは?
  • 2. シャドーイングと音読はどっちをやるべきか?
  • 3. シャドーイングと音読に取り組む順番は?

今回も主観に偏り過ぎないよう、「脳でどんな情報処理が行われているか」という観点で、応用言語学からの文献も参考にしつつ書いて行きたいと思います。

それでは行きましょう。

1. シャドーイングと音読の違いとは?

音を処理するか、文字を処理するか

何と言ってもシャドーイングと音読における大きな違いは、

  • シャドーイング → 耳を使って音声情報を処理する
  • 音読 → 目を使って文字情報を処理する

という点です。

このような違いがあるため、結果として鍛えられるスキルや効果の違いが生まれます。以下の通りです。

  • シャドーイング:耳から入ってくる音声情報を何度も処理する → それにより「音声知覚の自動化」を促す。
  • 音読:目から入ってくる文字情報を何度も処理する → それにより「音韻符号化の自動化」を促す。

上記の通りです。

このような効果の違いについては、応用言語学者の門田(2007, 2012, 2015)によって指摘されています。

以下、そちらを参考に、シャドーイングと音読それぞれの効果を詳しくまとめます。

シャドーイング → 音声知覚の自動化

シャドーイングは、

聴いた英語を2, 3語遅らせて真似して言う

という練習です。

止めどなく流れてくる音声情報を、間髪入れずどんどん真似して言っていかないといけません。

そのため学習者は、耳にした音声を認識する(処理する)ことに意識を集中させる必要があります。音にしっかり注意が向けられた状態で、音声処理を何度も取り組んで行くことで、その脳内処理が「自動化」して行きます。

これが「音声知覚の自動化」と呼ばれるものです。

音声知覚が十分自動化すると、リスニング時、耳にした音声に対して「どんな音かな?」といちいち考えることなく、無意識的に認識できるようになって行きます。

結果、音を認識するのに余裕ができた分、リスニング中はより英文の意味内容理解にも集中しやすくなって行きます。

(上記のメリットについては、シャドーイングの効果とは?【リスニングにどう効くかも解説】でも詳しく解説していますので参照ください。)

音読 → 音韻符号化の自動化

一方で音読は、

目にした文字情報をきっかけに、声に出ながら読み進めて行く

という練習法です。

これが「音韻符号化の自動化」を促します。

「音韻符号化」とは、目にした文字情報を「頭の中で音声化(発音)する」処理のことです。

人間は文章を読み進めるとき、

▽ 文字を目にする
▽ 一度それを頭で音声化(音韻符号化)
▽ その音声情報を手がかりに、自分の長期記憶を検索し該当する語彙の情報を引き出してくる

というプロセスを踏んでいます。

音読では、「文字を声を出して読む」ということが前提になっているため、必然的にこの音声化(音韻符号化)に取り組むことになります。

はじめはスペル的に読みずらい単語あったとしても、何度も声を出して読んでいるうちに、文字と音声の結びつきが強化され、スムーズに音声化することができるようになって行きます。

結果として、リーディング中、

文字を見る → 音韻符号化 → 語彙認識

という一連の脳内処理が、スピーディーに、あまり意識を割かずともできるように自動化されます。

リーディング中、文字周りの処理に脳のリソースをあまり割かなくて良くなるため、より文章の内容理解に集中して読み進めていけるようになって行きます。

(このような音読のメリットについては、音読の目的・効果とは?【なぜ英語力アップに効くか理由も解説】でも詳しく解説していますので参照ください。)

シャドーイングと音読で鍛えられるスキルの違い:まとめ

  • シャドーイング:音声知覚の自動化 → 音の聴き取りが自動的にできるように → リスニングに貢献
  • 音読:音韻符号化の自動化 → 文字から語彙認識までが自動的にできるように → リーディングに貢献

上記が、シャドーイングと音読を決定的に分けるポイントになります。

シャドーイングと音読は「理解する」プロセスには効く?

さて上記の「音声知覚」と「音韻符号化」は、外から入ってくる音声的な刺激、視覚的な刺激を処理するという、いわばリスニングとリーディングにおける「入り口」にあたる知覚的な処理でした。

ですが当然、「音 or 文字を認識する」という知覚的な処理だけではなく、「意味内容をつかんで理解する」ということも、リスニングとリーディングの場面においては重要です。

上記のように音 or 文字の知覚や認識を前提としつつも、そこから、

・語彙の意味やその語彙がとりうる構文を認識(語彙処理)
・複数の単語どうしがどんな語順や文構造を取っているかを見極め(文法処理)
・上記の情報から、その文の内容を想起する(意味処理)
etc.

といったより深い言語処理を行いつつ、文章の内容を把握していくことも、リスニングとリーディングにおいては不可欠です。

では、シャドーイングと音読がそこを鍛える効果があるのでしょうか?

理解しながら取り組めば「理解する力」はつく

結論としては、もし内容を理解しながら取り組んだ場合には、効果があると言えます。

私たちは、実際に「やったこと、処理したこと」を学習します。

(門田, 2012, p.318)

もしシャドーイングや音読で、単に音声や文字的な処理だけではなく、そこから文意を理解するために語彙・文法・意味処理に取り組んだ場合は、その処理が自動化され、そこで使われている語彙や文法など知識が、長期記憶で強化され定着して行くことになります。

ちなみに、「音読は意味を理解しながらやることが大切」とよく言われるのは、上記のような効果を狙っていると言えるでしょう。

音声知覚はシャドーイング、音韻符号化は音読で鍛えられる固有のスキルという違いはありますが、それ以降の「内容を理解するスキル」という点については、シャドーイングと音読でも鍛えていくことは可能と言えるでしょう。

(※ただし、これは理論上の話ではあります。特にシャドーイングは難易度が高いため、実際の練習でここまで取り組むのか、また取り組んだとしてできるのかは、考えていく余地がある所だと思います。詳しくは後述します。)

シャドーイングと音読はどっちをやるべきか?

以上ここまでの内容を踏まえ、ここからは「普段の学習にシャドーイングと音読をどのように取り入れていくか」ということについて書いて行きたいと思います。

まず、シャドーイングと音読のどちらをやるべきか、という点についてですが、結論としては、

どちらも取り入れられた方が、英語学習としては効果的

と言えます。

ここまでの内容からもお分かりと思いますが、そもそも2つでは鍛えられる脳内処理やスキルに違いがあるからです。

少なくとも、知覚段階の処理スキルにおいては、

  • シャドーイング → 音声知覚を自動化する(リスニングのため)
  • 音読 → 音韻符号化を自動化する(リーディングのため)

というように、両者は明確にターゲットが異なります。

やはり、耳を使わないことには耳は鍛えられませんし、目を使わないことには目に関する処理は鍛えられないということです。

なので、シャドーイングと音読に優劣がある、ということではなく「それぞれが異なるスキルをカバーしている」と考え、意図的に学習に取り入れて行くことが必要だと思います。

内容理解のスキルについては?

先ほどシャドーイングと音読の両方で、このスキルを鍛えることが「理論上は可能」と書きました。

ですが、多くの場合、実際シャドーイングの中で、この部分までをうまく鍛えていくのは困難なことが多いのではないかと思います。

理由としては、文字スクリプトを使用できる音読とは違い、シャドーイングでは英文の音声が次々と流れて来てしまうので、自分のペースで練習を行うことが難しいからです。

そのため、内容理解のスキルについては、基本音読を軸に学習を組み立てていくのが良いと思います。

音読の強み = 文字スクリプトを使えること

例えば音読の場合は、左→右に読んでいる中で、内容の理解が追つかなかった場合でも、文字スクリプトがあるので少し戻ってもう一回そこを読み直すことができます。

その際、さっきは処理し切れなかった語彙や文構造も今一度しっかり捉えつつ、意味内容を思い浮かべながら繰り返すことが可能です。

ですが、シャドーイングの場合は、音源をベースにどんどんと流れて行ってしまうため、こういったことが行いずらい面があります。

また、短く弱く発音され音では認識しにくい前置詞や代名詞、接続詞といった「機能語」も、文字スクリプトがある音読であれば、しっかりと目で存在を認識でき、脳で処理した上で内容理解に繋げやすくなります。

シャドーイングで内容理解まで練習するのは、音声知覚が相当自動化してから

もちろん最終的には、「聞いた音声を知覚して、そこから内容理解までできる」という状態に持っていくことが必要です。

シャドーイングで、「音声知覚」+「理解」を同時に行えることが理想ではあります。

ですが、音声知覚スキルがままならない状態で一気にそこまでカバーしようとすると、練習の難易度がかなり高くなり、どっちの脳内処理もスピードに間に合わないという状況になってしまいます。

これでは、音を聴くこと、内容を理解することの両方が中途半端になってしまい、どちらの処理スキルも鍛えることはできません。

そのため内容理解については、文字を使える音読で基本的には進め、シャドーイングで行うにしても、まずは音声知覚が難なくできるほどに自動化してから少しずつ入れる、ということが良いと思います。

(なお、音声知覚に加え理解まで行うシャドーイングは「コンテンツシャドーイング」と言います。門田(2015, p.251-252)では、コンテンツシャドーイングは、音声面のみに注意を向けたシャドーイングが “苦もなくできる” ようになった後に導入する練習として位置づけられています。)

シャドーイングと音読に取り組む順番

最後はより具体的に普段の学習を想定し、シャドーイングと音読をどのような順で取り入れていくと良いかについて、書いて行きたいと思います。

音源も文字スクリプトもある学習教材を使うとして、どのように学習を進めていくのが良いでしょうか。

考えられる基本的な手順としては、例えば以下のようになります。

  • ステップ①:音読(発音 + 内容理解を意識)
  • ステップ②:シャドーイング(音声知覚のみを意識)
  • ステップ③:音読(発音 + 内容理解を意識)*②で身につけた発音を少しずつ反映
  • ステップ④:シャドーイング(音声知覚を意識)
  • 上記のサイクルを繰り返し。

順に解説していきます。

ステップ①:音読(発音 + 内容理解を意識)

まずは音読からです。

シャドーイングは難易度が高いため、先に音読を取り組んでおくことで、そのスクリプトがどんな内容か、どんな単語が使われているかなどに慣れておく、という意味もありステップ①としています。

そして、ここの音読で鍛えるポイントとしては、

  • 見た文字を発音しながら読むことで、音韻符号化の自動化
  • 意味内容をつかみながら読むことで、内容理解のために必要な語彙・文法・意味処理を自動化

の2つです。

ただ、特にはじめは、読み慣れない発音に多くのリソースが取られるので、「内容の理解」にまで意識が及ばず、ただ声を出して読むだけ、という状態になることもあります。

ですがその場合でも、はじめはそれでOKです。

繰り返す中で音韻符号化が自動化してくれば、少しずつ意味内容にもフォーカスしやすくなっていきますので、段階的に意識できるようにしていきましょう。

上記ようなポイントについて詳しくは、英語の音読って大変… 黙読じゃダメですか?も合わせて参考ください。

また、意味内容を理解していくには「イメージ」をうまく使っていくことも大事です。こちらについては英語の音読でイメージが重要な理由【イメージするコツも解説】を参考いただければと思います。

以上を踏まえつつ、このステップ①では、発音&内容理解がスムーズにできるまで何度も音読を繰り返していきましょう。

ステップ②:シャドーイング(音声知覚のみを意識)

このステップでは、一先ず、意味内容は置いておいてOKです。
音声を聴くことに集中し、音声知覚を鍛ることを目的に行いましょう。

ただシャドーイングは、音声だけに集中したとしても、かなり難しくてなかなか練習がうまくこなせない場合が多いです。

その場合は、練習中の負荷を自分に合うものに調節していくことが不可欠です。

練習が空回りしてしまい、全く効果が得られないと言うことにもなりますので、適宜対策をとっていくようにしましょう。こちらについては、シャドーイングが難しくてできない【そう感じる時に考えるべきこと】も参考ください。

難易度も調整しつつ、「聴く → 真似して言う」が自動化できるまで繰り返し練習していきましょう。

ステップ③:音読(発音 + 内容理解を意識)

次の日などで、再度音読に取り組みましょう。
基本的にはステップ①とポイントは同じです。

ただ、音読はどうしても自分独自の発音での練習になってしまいます。

ステップ②でネイティブの発音にも触れているため、そこで練習した発音をこのステップ③に少しずつ取り入れていきましょう。

徐々にで良いのでネイティブに近い発音も目指しつつ、音読をしていきましょう。

ステップ④:シャドーイング(音声知覚を意識)

基本的には、ここのステップでも音声のみにフォーカスで良いと思います。

ステップ②で適切に練習ができていれば、前回よりもスキルが自動化しており、楽にこなせるようになっているはずです。

さらに無意識的に「音を聴く → 真似して言う」という行為ができるよう、繰り返していきましょう。

音読 ⇄ シャドーイングのサイクルを回す

1つのスクリプトについて、上記のステップを回していき、3〜4日くらいで1つ仕上げていくようにしましょう。

以上は1つの流れの例ですので、状況に応じて量のバランスを調整したり、例えばシャドーイングが難しければ、他のより簡単な音声系の練習を行うなど変えても良いと思います。

適宜内容も変えつつ、学習を進めていきましょう。

まとめ

以上、今回は「シャドーイングと音読の違い」についてでした。

普段の学習を組み立てていく際に、少しでも参考になると嬉しいです。

なお、音読については、目的〜具体的な練習法まで網羅的にまとめた記事がありますので、よければ合わせて参考ください。
» 英語音読の総まとめ【基礎知識〜実践テクニックまで網羅】

おわり


ーーー
【参考文献】
門田修平. 2007. 『シャドーイングと音読の科学』 東京:コスモピア.

門田修平. 2012. 『シャドーイング・音読と英語習得の科学』 東京:コスモピア.

門田修平. 2015. 『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』 東京:コスモピア.