役に立たない英語学習blog awareness without action will be useless

シャドーイングが難しくてできない理由と対処法

シャドーイング


Q. 「シャドーイングが良いと聞いてやってみたけど、すごく難しい…。全くできないし、このまま続けても意味がないと感じる。なんで?どうしたらいい?」

本記事では、このような内容について見ていきましょう。

シャドーイングは効果的な学習法の1つです。
ですがいざやってみると、「難しすぎて、こんなのできない…」「うまくいかない…」となりやすいもの。
まずは「練習がきちんと形になる」という状況を目指すことが大切です。

今回はシャドーイングが苦手という方に向け、なぜシャドーイングは難しいのか、また、できないときの対処法についても見ていきたいと思います。

本記事の内容

  • シャドーイングが難しい理由
  • シャドーイングが難しい… そう思うときに考えるべきこと
  • シャドーイングがうまくできないときの対処法

それでは行きましょう。

シャドーイングが難しい理由


くり返しになりますが、シャドーイングは難しい学習法です。
それにはシャドーイングの以下のような特徴が関係しています。

  • ①:複数のことを同時にこなさないといけない
  • ②:とにかくタイムプレッシャーがきつい
  • ③:高い英語音声の知覚力が求められる

順に詳しく見ていきましょう。

①:複数のことを同時にこなさないといけない

シャドーイング中は、とにかくやることが多いです。
モデル音がスタートした瞬間から、あらゆることを一気にこなして行かなければいけません。

たとえば以下です。

  • モデル音を聴き取る
  • 聴き取った音を少しのあいだ頭に保持する
  • それを自分の口でもマネして言う
  • 自分がモデル音と同じように言えているかをモニタリングする

シャドーイングではこのようなマルチタスクを、しかも馴染みのない英語でこなしていく必要があります。

とくに慣れないうちは、上記のような1つ1つの行為が「自動化」していません。かなり集中しながら、1個ずつ注意して取り組まないとうまく実践できないという状態です。

脳の容量には限界がある

問題は、そういったまだ慣れていない行為というのは、頭のリソースやキャパを大量に消費してしまうということです。

脳のリソースやキャパに奪い合いが生じてしまい、結果として、「どれか1つを意識すると、他のことがうまくできない…」といった板挟みになってしまいます。

たとえばシャドーイング中に、以下のようになってしまう方も多いのではないでしょうか。

  • モデル音を聞こうとする → 自分の発音がおろそかになる
  • 自分の発音に注意する → モデル音を聞くのがおそそかになる
  • 聞く+言うの両方を意識しようとする → すぐに詰まってしまい、シャドーイングを続行できない

このように「どちらか一方を立てると、もう一方が立たない」という状況になりやすいものです。

これを解決するには、シャドーイング中に取り組まなければいけない1つ1つの行為が、かなり高いレベルで「自動化」している必要があります。頭でじっくり考えなくとも、「無意識に」かつ「スピーディーに」こなせるようになることが必要です。

②:とにかくタイムプレッシャーがきつい

さらにシャドーイングを難くしているのが、この「時間」の問題です。

シャドーイングでは、限られた時間内で大量の情報を次々と処理しないといけません。
モデルスピーカーがしゃべりはじめた瞬間から文が終わるまで、洪水のようにノンストップで英文が流れてきます。

音読などであれば、多少ペースを緩めたり、少し戻って読み直すということも可能です。ですがシャドーイングではそういったことができません。

「ある部分を処理し終えていないのに、次の英文が流れてくる → ついていけなくなる」となってしまいやすいのも、シャドーイングの難しさといえるでしょう。

③:高い英語音声の知覚力が求められる

また、シャドーイングは「音声」をベースとした練習法です。

そのため英語の音の聞き取りや処理に何らかの支障がある場合は、どうしてもこなすことが難しくなってしまいます。

シャドーイング中、以下のように感じることはないでしょうか?

  • そもそもモデル音がどのように発音しているかわからない
  • 耳をすましても、ゴチャゴチャッと雑音のようにしか聞こえない
  • 各語の音がつながっており、音のカタマリにしか聞こえない
  • 文字で確認しても、とてもそう言っているようには聞こえない など

たとえば上記です。

ここまで見てきたように、シャドーイングはマルチタスクであり、かつタイムプレッシャーも相当なものです。さらにモデルスピーカーの音の認知にも苦労するようであれば、シャドーイングができなくなってしまうのは当然でしょう。

シャドーイングを開始してもすぐに崩れてしまったり、言えないところが多い虫食いのようなシャドーイングになってしまいがちです。

このように「音声を瞬時に聞き分けて知覚する能力」も、シャドーイングを成功させるのに重要な要素になります。

シャドーイングが難しい… そう思うときに考えるべきこと

以上のように、シャドーイングにはいろいろと難しい要素があることがわかります。
多くの方が「こんなのできない…」「難しい…」となってしまうのは自然なことではないでしょうか。

まずはそういった、「そもそもシャドーイングは難しい練習である」という理解を持つことが大切と思います。とくに落ち込んだりする必要もありません。

シャドーイングを満足にこなせるようになるには、そこまでの「橋渡し」をどうするかを考えることが最も大切です。

いまの自分の状況に合わせながら、無理なく練習を進めていきましょう。
以下にいくつかその方法を見ていきます。

シャドーイングがうまくできないときの対処法

  • ①:段階的に負荷を上げていく
  • ②:「つぶやき」で練習する
  • ③:スピードを落とす
  • ④:音が聞こえない原因を特定し、正しい音を覚え直す
  • ⑤:無理な練習のやり方になっていないかを見直す
  • ⑥:1つの英文スクリプトを継続して取り組む

順に見ていきましょう。

①:段階的に負荷を上げていく

いきなり本格的なシャドーイングから入る必要は、必ずしもありません。
キャパオーバーになってしまわないよう、脳にかかる負荷をゆるやかに調整しながら練習を進めてみましょう。

より具体的には、シャドーイングに入る前に以下のような予備的な手順を十分挟むようにします。

  • 手順①:自分のレベルにあった英文を選ぶ
  • 手順②:英文の内容を一通り確認する
  • 手順③:オーバーラッピングをする
  • 手順④:シャドーイング(文字スクリプトあり)
  • 手順⑤:シャドーイング(文字スクリプトなし)

たとえば上記です。

本来のシャドーイングとしては、手順⑤がそれにあたります。
ですがいきなりそこから入るではなく、手順①〜④のような予備的な手順や練習をしっかりと行います。

階段を登るように、段階的に難易度を上げていくようにしましょう。
なお手順①〜⑤の具体的なやり方については、以下の記事で詳しく解説しています。

②:「つぶやき」で練習する

また「自分の声をつぶやきに抑えてシャドーイングする」というのも有効な方法です。

これはつまり、シャドーイングでこなさないといけない、

  • (1) モデル音を聞く(音を知覚する)
  • (2) 聞いた音をマネして発音する
  • という行為のうち、(2) の方をあえてあまり意識しないということです。

    これにより、(1)の方に脳のリソースをさきやすくなり、音を聞くことに集中しやすくなります。
    自分の声に邪魔されて、モデル音が聞こえなくなるということも少なくなるでしょう。

    自分の発音のエラーについて

    この練習では、つぶやきで、自分の声はボソボソ聞こえるか聞こえないかぐらいで発音して大丈夫です。
    この段階では多少自分の発音が不正確だったり、完璧に口が回らなくても問題ありません。

    シャドーイングでは「モデル音を聞く」もしくは「聞き続けられる」ということが、土台としてとても大切です。
    モデル音を耳でとらえ、それに何度も取り組むからこそ、英語の音が少しずつ頭に刷り込まれていき、音の知覚力や発音が鍛えられていきます。

    まずは「音を耳で追えている感覚」を持てるようにし、モデルスピーカーがどういった音の輪郭で発音しているのかを冷静に感じられるようにしましょう。

    その感覚をある程度もてるようになったら、少しずつ自分の口も動かしていき、自分で発音もしていくようにすると良いと思います。
    » 参考:シャドーイングの声の大きさの使い分け【マンブリングのススメ】

    ③:スピードを落とす

    シンプルですが、こちらも難易度を調節する方法の1つです。

    モデル音の再生スピードを落とすことで、一定の時間内で処理しないといけない情報の量が緩和されます。途中で置いていかれることなく、シャドーイングを続けやすくなっていきます。

    無理にはじめから1倍速にこだわる必要はありません。
    速すぎてついていけないときは、「聞いた音を遅らせて言う」というシャドーイングの行為をきちんとこなせるよう、自分に合った速度に調節していきましょう。

    速度を調整する方法

    1つは、元々スピードが遅いスクリプトを選ぶことです。

    聞いてみた印象で速いか遅いか判断するのも良いですし、1分間に何単語しゃべっているかという「WPM(Word Per Minute)」を参考に判断するのも良いと思います。

    WPMの出し方

    [英文全体の単語数] ÷ [英文全体の秒数] × 60

    とくに慣れなれておらず、シャドーイングが難しくてできない… といううちは、100〜120WPMといったスピードの英文も試してみましょう。

    また元々速いスクリプトだったとしても、スマホのアプリを使えば簡単に速度を落とすことができます。

    そういうツールを使って、「0.7倍速 → それに慣れたら0.8倍速 → それに慣れたら0.9倍速…」というように、段階的に進めていくことも可能です。

    ④:音が聞こえない原因を特定し、正しい音を覚え直す

    先ほど「音の知覚ができない箇所があることで、シャドーイングができなくなる」ということを書きました。
    (→シャドーイングが難しい理由③)

    正しく知覚できない原因の1つとして、「モデルスピーカーが実際に発している英語の音声と、自分がこう聞こえるだろうと想定している英語の音声がそもそも違っている」ということが考えられます。

    たとえば実際の英語の発音では、以下のようなことがよく起こります

  • it の t が破裂されず、「イッ」としか発音されない
  • will がかなり弱く発音され、一瞬ボソッと「ゥォ」のようにしか発音されない
  • 単語どうしがつながり、list of items が「リストヴァイテムズ」のように発音される(とくに真ん中の of の音が隠れる) 
  • たとえば上記です。

    実際はこのように発音されているにもかからわず、たとえば it の t がしっかり発音されるだろうと思って聞いてしまったり、will がはっきり「ウィル」と発音されるだろうと思って聞いていると、あまりの音のイメージの違いから認識しずらくなってしまいます。

    音のギャップを1つずつ埋めていく

    とくに「文字で見ると知っている単語ばかりなのに、音で聞くと何て言っているかわからない…」という場合は、「自分が覚えている英語の音」と「実際にネイティブが発している音」の間にずれがあることが多いです。

    ですがこのようなずれは、たんにシャドーイングをくり返すだけではなかなか克服しづらいところでもあります。
    シャドーイングではどうしてもスピードが求められ、細かいところまで音をチェックしずらいためです。

    そこで以下のようなことも大切です。

    • 何と言っているか聞き取れない所がある場合は、シャドーイングをくり返すだけではなく、そこをモデルスピーカーがどのような発音で言っているのかを分析するようにしましょう。
    • 分析をつうじて「あっこんな音で言っていたのか!」と気づけることが大切です。
    • 音に気づけたら、その音の特徴を意識しつつ、自分の口でも言えるように練習していきましょう。

    このようなプロセスをとおして、自分の頭にストックされている英語の音を、本来の正しいものへと書き換えていきます。

    車を修理するときに、一度車を止めて直すのと同じです。
    シャドーイング中うまく音を認識できない所がある場合は、一度立ち止まってそこを詳しく分析するようにし、自分の音と英語本来の音とのずれを埋めていくようにしましょう。

    具体的な方法は以下も参考ください。

    ⑤:無理な練習のやり方になっていないかを見直す

    無理なやり方でシャドーイングに取り組んでいないか、という点も重要です。

    たとえばよくあるのが、シャドーイング中に音をマネするだけではなく、「文構造や意味内容も完璧に追っていかないと」と意識してしまうことです。

    先ほどシャドーイングはマルチタスクだとお伝えしましたが、音だけではなく、そこに他の処理も加わってしまことで、頭にさらに負荷がかかり難易度が上がってしまいます。

    練習がうまくこなせなくなることで、シャドーイングの効果も得られなくなってしまうでしょう。

    まずは音声だけに集中

    ことばをつかう上で、「意味」が重要であることは言うまでもありません。
    ですがことシャドーイングにおいては、「あえてそれを置いておく」というのも1つの手です。

    まずは音だけに集中するようにし、「シャドーイングを最後までこなせる」「練習としてきちんと形になる」ということを優先してみましょう。
    それによりシャドーイングで得るべきメリット(音声知覚力)を、まずはしっかりと得ていくことが大切です。

    シャドーイング中の意味のあつかいについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

    ⑥:1つの英文スクリプトを継続して取り組む

    シャドーイングが難しいうちは、毎日新しいスクリプトにトライするのではなく、「1つのスクリプトを数日間(例:3, 4日など)かけて集中的に取り組む」というのがオススメです。

    とくに1日目は多くの集中力を要し、精度も高くないと思います。
    ですが、同じスクリプトを反復して取り組んでいると、そこに含まれている表現や音のパターンにも少しずつ慣れていきます。

    1日目よりは2日目、2日目よりは3日目と、少しずつ頭に余裕も生まれていくはずです。
    シャドーイングでは、こういった「日を追うごとに楽にできる感覚」を持てることが大切です。

    「同じことが、前よりも余裕を持ってできるようになる」というのは、シャドーイングという行為が「自動化」している兆候でもあります。

    また、余裕が出てくればくるほど、細かい部分にも注意を向けやすくなり、精度をさらに上げやすくなっていきます。

    練習をくり返す → 自動化する → 細部にこだわる → 練習をくり返す → 自動化する → 細部にこだわる → …

    このようなサイクルをつくっていきましょう。

    一方で毎日スクリプトを変えてしまうと、毎回不慣れな内容のものに取り組むことになってしまうので、できない部分が解消されないままになりがちです。

    1つのスクリプトを集中的に反復しながら、着実にできることを増やして行きましょう。

    まとめ


    以上、シャドーイングが難しい理由と対処法についてでした。

    いきなり完璧にこなせる必要はありません。
    うまくいかないときは、練習がしやすくなるように工夫をし、少しずつこなせるようになっていきましょう!

    おわり