シャドーイングで「眠くなる」場合の3つのチェックポイント
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どうしたらいい?
今回はこのような疑問に答えます。
本記事をご覧の方はおそらく、これまで「寝不足かな?じゃあよく寝よう」や「自分は気合いが足りない?じゃあ気合を入れなおそう」といった対策を考えたり、アドバイスを受けてきたのではないかと思います。
ただ「それでもやっぱり眠くなる…」とお困りなのではないでしょうか。
今回はそういった方向けに、シャドーイング中ぜひチェックいただきたい点を3つまとめました。
この3つに該当する場合は、シャドーイング中、頭に適切な「負荷」がかからず、あまり集中力を必要としないシャドーイングなっているかもしれません。そしてこれが眠くなる1つの原因になってしまっている可能性があります。
合わせて対策についても触れて行きますので、参考にされてみてください。
では行きましょう。
シャドーイングで眠くなる場合の3つのチェックポイント
以下の3つです。
- ポイント①:音をしっかり聴こうとしているか?
- ポイント②:暗記になってしまっていないか?
- ポイント③:練習時間が長く、集中力が切れてしまっていないか?
詳しく順番に見ていきましょう。
ポイント①:音をしっかり聴こうとしているか?
シャドーイング中、漫然と音声を聞いてそれを繰り返す「聞き流し」に近いやり方なってはいないでしょうか?
シャドーイングでは「音声をしっかり聴き、ネイティブの発音をそっくりマネしていく」という意識が決定的に重要です。
それは、シャドーイングが以下のような効用を狙った練習だからです。
シャドーイングの目的
- 流れてくるモデル音にしっかり耳を傾け、「それがどんな音かを判断・認識 → それを口で再現する」という脳内の処理を何度も繰り返し取り組む。
- 結果、音声の知覚力(リスニング中、耳にした音からそれがどんな英語なのかを瞬時に認識できる力)が上がってきます。
音声知覚にしっかり取り組む → 頭にきちんと負荷がかかる
ですが、ただなんとなく聞き流しているだけだと、そう言った一連の処理に取り組むことができません。
脳にもプレッシャーがかかりにくくなり、あまり集中力も必要としない、眠たくなる練習になってしまいます。
「音を細部までしっかり聴く、それをネイティブと同じようにそっくりマネしようとする」という、英文への積極的な関わり方が重要です。
モデル音源の「完コピ」を目指しましょう。
ではより具体的に、モデル音源のどんなところを注目して聴き、マネすれば良いのでしょうか?
例えば、以下のような点です。
- (1) 個々の単語の発音
- (2) 音声変化
- (3) 強弱のリズム
- (4) イントネーション
- (5) ちょっとした息継ぎの間
*(2)について詳しくは、英語の音声変化:6つまとめ【生じるときのルール + 例つき】も参照ください。
*(3)について詳しくは、英語の強弱リズムをつくる際のルール【シンプルに3つだけです】も参照ください。
こういった点にも細かく注目して音を聴こうとするだけでも、かなり集中力を必要とし、脳にも良い負荷になると思います。
ネイティブの特徴を頭に刷り込んでいけるよう、しっかり音に耳を傾けましょう。
ただし難易度の調整は必要
ただ上記のような音声の特徴を、一気にすべて注意しつつシャドーイングするのはかなり難しいと思います。
シャドーイングは、音読などとは違い自分でペースを決めることはできません。あくまでモデル音源のペースでリアルタイムに、様々な音声的な判断を行っていく必要があるからです。
なので、以下のように練習を進めるようにしましょう。
- 1度に注意するポイントは絞る(例:今回はリズムを特に注力しよう! 、今回はイントネーションを意識しよう! etc.)
- 反復練習する中で、それがある程度「楽に・無意識的に」こなせるようになった段階で、また別のポイントを追加する。
上記のように「段階的に」進めていくことが大事です。
それでも「シャドーイングをうまくこなせない…」という場合は、スピードを調整する、スクリプトレベルを調整するといった対策も並行して行っていきましょう。
» シャドーイングが難しくてできない【そう感じる時に考えるべきこと】
「聴く → どんな音か判断 → マネして言う」というサイクルを、うまくつくれるようにしていきましょう。
ポイント②:暗記になってしまっていないか?
「暗記した英文をただ言っているだけ」の状態も、脳に適切な負荷やプレッシャーはかかりません。
①と同じく集中力を必要としない、ただ口を動かすだけの作業になりがちです。
眠くなる原因の1つにもなってしまうでしょう。
- 暗記して覚えているから、自分の口で言える → NG
- きちんと音を聴いたから、自分の口で言える → OK
シャドーイングでは、上記の区別は非常に大事です。
この違いにより、シャドーイング中、脳内の処理として「音声知覚」に取り組むかどうかがまるっきり変わってきます。
結果として、リスニングで「聞いた音声を、即座に認識できる力」が鍛えられるかどうかにも関わってきます。
もしそのような点に心当たりがある場合は、練習方法の見直しを行いましょう。詳しくは以下に書いていますので参照ください。
» シャドーイングで「暗記」がNGな理由【対処法も合わせて解説】
ポイント③:練習時間が長く、集中力が切れてしまっていないか?
本来シャドーイングは、相当なハードタスクです。
ポイント①で触れたように、シャドーイング中は、細部の音にまでしっかり意識を向け、そっくりマネしていく必要があります。
それと同時に、モデル音に引き離されてしまわないようついていかないといけません。
そのためには、「音を聴く → マネする」という行為を詰まらせず、流れてくる英文をどんどんさばいていく必要があります。
一旦モデル音がスタートしてから英文の最後まで、頭の中は非常に忙しい訓練です。
短時間の間に、脳に多くの音声情報を処理させ、一気に負荷をかけて行きます。
本来的には、眠くなるヒマがないほど脳を使い込む練習法です。
それゆえ、あまり長い時間取り組むのは向いていないかもしれません。どうしてもすぐに頭が疲れてしまい、集中力を持続しずらい可能性があります。
ただし「疲れる」は悪ではない。
ただ「疲れる」ということは、それほど「頭にしっかり負荷がかかっている」ということでもあります。
筋肉の発達と同じで、しっかり負荷をかけてキツい練習をこなしていると、やがてそれが楽に、素早くこなせるようになって行きます。
それが、リスニング中、「耳にした音を瞬時に判断できる音声知覚力」へとつながって行きます。
短時間で集中して取り組む
なので、基本的にシャドーイングは、長時間なんとなく取り組むよりは、「短時間で集中して取り組む」方が適していると思います。
例えば、「1セット=15分」と決め、休憩を挟みつつそのセットを1日2〜3回こなす、などというやり方でも良いと思います。
その代わり練習に取り組んでいる間はしっかりと集中し、「音を聴く&そっくりマネする」ということを意識して行っていきましょう。
» シャドーイングって疲れるけど、それでいいの?【対策も解説】
まとめ
今回は、「シャドーイングで眠くなる場合の3つのチェックポイント」でした。
シャドーイング中集中力が切れ、眠くなってしまう原因は何でしょうか?
練習中、頭には「適切な負荷」がきちんとかかっているか、どうすれば上手く負荷がかかり、意味のあるトレーニングになるのかを考えつつ対策して行きましょう。
おわり