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瞬間英作文は意味ない?【欠点や批判を10個まとめて解説】

瞬間英作文

「瞬間英作文って有名だけど、本当にやって意味あるの?」
「今やってるけど、今一効果や意味を感じられていない。」
「『弊害にさえなる』と言われているのを見るけど、実際のところどうなの?」
etc.

今日はこういった疑問に答えます。

今やってることに迷ってしまい、なかなか自信を持って学習を進められない状況は辛いと思います。

瞬間英作文に限らず、それぞれの練習法は長所、短所、カバーできる範囲、できない範囲があります。今回は主に「欠点」という切り口でこの練習法を見て行きましょう。

本記事の内容

  • 瞬間英作文にはどんな欠点や批判があるか【10個まとめて解説】
  • その欠点は解決できるのか → できる場合は解決法を提示
  • できない場合は、その欠点を踏まえどのように学習を進めていけばいいか?

「欠点」を網羅的に挙げつつ、それぞれ要点を解説して行きます。その際、解決できるものについては解決法も書いて行きます。

関連するリンクも載せておくので「これは自分に当てはまる」「興味がある、もっと知りたい」というものについてはそちらで詳しくご覧になってみてください。

実戦で通用するスピーキング力を身につけるため、今後どのように学習を進めていくか、理解する一助になれば嬉しいです。

では行きましょう。

瞬間英作文は意味ない?【練習法の欠点や批判を10個まとめて解説】


瞬間英作文についてよく取り上げられる欠点や批判は、以下の10個が挙げられます。

「弊害」としてよく言われるもの

  • ①:テキストの例文が不自然だけどいいの?
  • ②:「一度日本語を考えて喋る」癖がついてしまう
  • ③:変な発音が身につくのでは?

「やって意味ある?」という効果への懸念

  • ④:実戦で使えないような表現を覚えて意味あるの?
  • ⑤:英作する文(答え)が1つしかないけどいいの?
  • ⑥:テキストに解説が少ない
  • ⑦:TOEICにもほとんど効果はないのでは?

しっかりやり込んだ上で「やっぱり意味ない」

  • ⑧:取り組んだけど会話力が上がったと感じない

実際に練習しているときに感じる困難さ

  • ⑨:日本語⇄英語の語順の違いに混乱する・日本語が邪魔
  • ⑩:難しくてスラスラできない

以上のようになります。

順番に詳しく見て行きます。

「弊害」としてよく言われるもの

①:テキストの例文が不自然だけどいいの?

具体的に何が問題か?

瞬間英作文のテキストで「不自然」と思える例文は、大きく以下の3パターンがあります。

  • その1「文法的には正しい。けどネイティブはこんな言い方しない」パターン
  • その2「この表現、いつ使うの?」パターン
  • その3「情報の順番が不自然に見える」パターン

さらに具体例を挙げます。

<その1の例>
「私はあなたと結婚したい。」
→ I wish to be wedded to you.(*NG)
→ I want to marry you.(OK)
(↑この自然or不自然の例は、白井, 2012を参考にしています。)
<その2の例>
・This is a pen.
・Ken is playing baseball.
のような「いや、見たら分かるよ」とツッコミを入れたくなるような例文。
<その3の例>
・The comment was posted by him.よりも、
・He posted the comment.の方が自然じゃない?

このような例文があるために、

  • こんな不自然な例文を英作する練習いいのか?
  • 実際の会話で役に立たないのでは?
  • 不自然な英語が身についてしまわないか?
  • という問題に直面してしまいます。

    このあたりは、

    互いに無関係の短文の羅列を、ひたすら英作していく

    という瞬間英作文の練習形式やフォーマットからくる問題でもあります。

    瞬間英作文では「実際のコミュニケーションの状況」までを踏まえた上で、自然な英語で表現していく、という練習をすることはなかなか困難です。

    どのように学習していけばいいか?

    私は瞬間英作文については、

  • 確かにこのようなデメリットもある
  • 一方で得られるメリットもある
  • なのでメリットさえ得られれば、早々に他の練習に軸足を移していく
  • ということが大事だと考えています。

    なお、瞬間英作文で得られるメリットとは、「統語(文法)処理を自動化すること」です。つまり、

    ある文法ルールに沿って、単語さえ入れ替えれば、自分でいろんな文をスピーディーに生み出せるようになる

    ということです。

    これができるようになると、自分で英文をカスタマイズできるので、多少込み入った複雑な内容でも、相手に意味を緻密に伝えられるようになります。

    「そもそも瞬間英作文でカバーできるスキルは限られている」と捉え、この練習法を活用していくことが、ストレスを溜めずに取り組んでいく秘訣です。

    これについてはより詳しく過去の記事で、

    • 不自然な例文の問題点を整理
    • 不自然な例文のデメリットを最小にするためにやるべきこと(教材の選び方や、普段からやっておいた方がいいこと)

    を解説しています。「不自然さが気になって学習が進まない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

    ②:スピーキングで「日本語から考える」癖がつく

    具体的に何が問題か?

    瞬間英作文は日本語をトリガーとして練習するので、いつまでも日本語を介してしか喋れない & そのような癖がつく、という問題です。

    人間の頭の「情報処理」の観点からみると、本来スピーキングで目指すべきは、

    ▽① 言いたい内容を決める
    ▽② それを、どの英単語や文法・発音で言うか考える
    ▽③ それを、口を動かして声にする

    という3ステップを、よどみなくできるようにすることです。
    (↑この処理プロセスは、Levelt, 1989を参考にしています。)

    ▽①で言いたい内容が思い浮かんだら、日本語的な要素は入れず、それをダイレクトに▽②で英語化して行く流れを作ることが重要です。

    特に「日本語を見て一語ずつ忠実に英語に置き換えていく」ような「逐語訳」をしてしまうと、

    ▽① → ▽②という処理ではなく、
    日本語 → ▽②という頭の処理

    になるため、日本語を使わずに英文を考えるという回路が鍛えられません。

    どのように学習していけばいいか?

    このような弊害はその人が「どのように瞬間英作文に取り組むか」で改善できます。

    簡単に言うと練習中、

  • NG:日本語を読む → 英語に訳す
  • OK:日本語を読む → イメージ化 → 英作
  • という手順を意識的に踏むことが大切です。(OK例の「イメージ化 → 英作」という部分が、先ほどの「▽① → ▽②」に相当する部分です)

    応用言語学者の門田(2012, p.27)が言うように、

    何でもそうですが、人はやったこと、処理したことを学習します。

    上記のOK例の処理に多く取り組むことが、日本語を介さず喋れる、いわゆる「英語脳」をつくるためにも大事です。

    これについては以下の記事で「スピーキングのメカニズムから見た英語脳の作り方」を詳しく解説しています。

    また「イメージ」を介した具体的な練習方法や手順もまとめています。こちらもぜひご覧ください。

    ③:変な発音が身につくのでは?

    具体的に何が問題か?

    瞬間英作文は、特に文法の型を自在に使えることにフォーカスがあります。一方で、発音はあまり強調されることはありません。

    当然、スピーキングには発音スキルも関わってきます。

    発音にあまりフォーカスを向けず瞬間英作文をやって、実際の会話の時に使いものになるの?と言う懸念です。

    どのように学習していけばいいか?

    これについては、「その練習がフォーカスしている優先順位」を考えて行くことが肝心です。

    瞬間英作文に限らず、それぞれの練習には、それぞれターゲットとして鍛えたいスキルや処理力があります。そして特に初学者のうちは、練習中意識できるポイントの数に限りがあります。

    なので、一度に全て意識するのではなく、まずはフォーカスするポイントを決め、それを第一優先に鍛えて行くことが大切です。

    瞬間英作文の第一目的は、統語(文法)処理の自動化ですので、場合によっては発音は一旦無視して、まずはこれを優先することが重要です。

    一方で、発音が大切でないということでは決してありません。
    これもスピーキング力をつけるには欠かせない要素です。

    とはいえ、自分の頭にかかる負荷とうまく折り合いをつけながら練習して行くことが大切です。意識することが多くて、どっちつかずの練習にならないよう進めて行きましょう。

    以下の記事では「瞬間英作文と並行してどのように発音も伸ばして行くか」まで解説をしています。瞬間英作文のメリットを損なわず、一方で発音もバランスよくカバーできるよう学習をしていきましょう。

    「やって意味ある?」という効果への懸念

    ④:日常会話で使えないような表現を「覚えて」意味あるの?

    具体的に何が問題か?

    瞬間英作文で英作する文は、「日常会話でそのまま使える」ようなものはあまりありません。

    例えば、

    「MaryはMichaelに腕時計を買ってあげた。」
    → Mary bought Michael a watch.

    のような文を覚えたとして、これを「そのまま」自分の日常生活の中で使うことはほとんどないでしょう。

    そのような文で多く構成されている瞬間英作文は「やって意味あるの?」と感じられてしまう場合があります。

    どのように学習していけばいいか?

    ただこれについては、先ほど「①:テキストの例文が不自然だけどいいの?」でも触れた瞬間英作文の目的を考えると、取り組み方を今一度見直してみる必要があります。

    なぜなら瞬間英作文で身につけるべきは、「成果物の英文そのものを暗記する」ことではなく、あくまで「英作するときの英語を組み立てて行く手順(統語処理)」にあるからです。

    「覚えて意味あるの?」という直感自体は正しいです。
    瞬間英作文のテキストの例文を時間をかけて覚えても、実際の会話ではほとんど実力にはなりません。

    ただ、統語(文法)処理のスキルが自動化すれば、単語を入れ替えるだけで自分であらゆる文を生み出すための処理は鍛えられます。
    (とはいえ、これは「スピーキングスキル」全体を見たときのほんの一部のスキルでしかありませんが。詳しくは⑧で解説します。)

    瞬間英作文の目的を今一度見直し、それに沿った正しいやり方で練習をして行きましょう。

    これに関連する記事は以下です。暗記することの他に目的があることを、具体例を踏まえ解説しています。

    また「覚えた表現を日常会話ですぐに活かす」のは、いわゆる「フレーズ表現の暗記学習」がそれに当たります。

    瞬間英作文と似てはいますが、目的や、練習中の頭の使い方、鍛えられる筋肉は全く異なります。両者の違いもこちらで詳しく解説していますのでご覧ください。

    ⑤:英作する文(答え)が1つしかないけどいいの?

    具体的に何が問題か?

    瞬間英作文は、英作する文(答え)が決まっています。

    そのため、

    自分の英作と答えが違った → 答えの方を覚え直す

    となってしまいがちです。

    どのように学習していけばいいか?

    ですが④で見た通り、瞬間英作文の例文を「覚える」ことに意味はありません。
    大事なのは、その英文を作るに至った「手順」を素早くできるよう自動化することです。

    そのページがテーマとする「文法の型やルール」が正しく使えているのであれば、第一目標は達成です。

    あくまでそこを幹と捉え、答えと文との細かい単語の違い(例:「静かにして。」をBe silent.と英作するかBe quiet.と英作するか)などは過度に気にせず、練習をして行きましょう。

    ⑥:テキストに解説が少ない

    具体的に何が問題か?

    テキストに解説がほとんどないので、どのように英文を作ればいいかが分からない、練習がはかどらない、という問題です。

    確かに、基本的に瞬間英作文のテキストでは、ほとんど説明のスペースはなく、日本語のお題と回答の英文が載っているだけですね。

    どのように学習していけばいいか?

    この場合は、まず第一ステップとして、文法テキストをしっかり復習することが大切です。「文法ルールについてまず知識として身につけ、ゆっくりでいいから自力で英作できる」という状態をまず固めましょう。

    瞬間英作文は、「文法や単語などの知識を新しく学ぶための勉強」ではなく、「知識を使うための練習」です。

    特に文法の知識がないと「使う練習」ができなくなってしまいますので、効果がほとんど上がりません。

    この場合は、中学校レベルの文法を先にざっと復習しましょう。これで練習の効率がかなり変わります。

    以下の記事では文法の復習方法なども解説していますので、街灯の方はぜひ参考ください。

    ⑦:TOEICにほとんど効果はないのでは?

    具体的に何が問題か?

    これは、瞬間英作文で身につけたスキルが、実際にTOEICで求められるスキルに繋がってる?とも言い換えができます。

    全く無関係ではないかもしれないが、実際どの程度スコアに直結するのかは微妙なところです。

    瞬間英作文で鍛えている処理スキルは、TOEICで求められるスキルの「一部」をカバーするのみだからです。

    どのように学習していけばいいか?

    TOEIC(リスニング、リーディング)ではどんなスキルが求められるか全体像を把握し、バランスよく鍛えていくことが不可欠です。

    例えばリスニングは、音の知覚から始まり、語彙処理、統語(文法)、文章全体での意味の処理など多くのことをやらないといません。

    瞬間英作文がカバーするのは、主には統語処理の部分です。大抵はそれ以外の処理にも課題があって、内容がうまく理解できていない場合が多いです。

    なので、スコアを上げるためにはどの処理力を鍛える必要があるのか考え、統語&それ以外の処理力もバランスよく鍛えていけるよう練習して行きましょう。

    以下の記事では、TOEICにおける瞬間英作文の効果の範囲を、第二言語習得の観点から説明しています。リスニング・リーディングにはどんな処理力が絡んでいるかも解説していますので、参考ください。

    ⑧:しっかりやり込んだけど効果ない、会話力が上がったと感じない

    具体的に何が問題か?

    これについては以下の2つのパターンあると思います。

  • 取り組んだが「正しいやり方」でできてなかったためにスキルが上がっていない
  • 正しいやり方で取り組み、テキストの瞬間英作文を素早くこなせるようになったが、実戦のスピーキングで通用しない
  • どのように学習していけばいいか?

    まず1つ目については、自分のやり方をもう一度見直してみることが大切です。

    ・逐語訳になってないか?
    ・暗記になってないか?
    ・この練習の目的である、統語(文法)処理はきちんとできているか?
    etc.

    など、今一度チェックしてみましょう。

    2つ目の場合は、瞬間英作文は終え、他の練習に軸足を移すべきです。

    なぜなら、瞬間英作文は、最終的に目指すべき「スピーキングというスキル」のほんの1部だけしかカバーしてない練習だからです。
    (1部とは、さっきから出ている「統語(文法)処理」の自動化です)

    実はスピーキングにはこれ以外にたくさんのスキルを身につける必要があり、それらと「一緒に組み合わせて練習していく」ということが欠かせません。

    この場合「取り組んだけど会話力が上がってない」という直感は正しいです。瞬間英作文については卒業し、次に自分に必要な学習に取り組んで行きましょう。

    では真のスピーキング力を上げるためにどのような練習をすればいいか?

    以下の記事では、スピーキングのメカニズムから、効果的にスキルをアップしていく際の基本的な学習の流れまで詳しく解説しています。ぜひご覧になってみてください。

    実際に練習しているときに感じる困難さ

    ⑨:日本語⇄英語の語順の違いに混乱してしまう・日本語が邪魔

    日本語⇄英語の語順はかなり違います。

    なので特に長い文など、「どこから英作したらいい?」と迷ってしまう例ですね。

    あまり日本語に引っ張られすぎると、2で見た、「逐語訳」みたいな作業になってしまいます。結果、なかなか日本語から離れることができず、練習も効果的になりません。

    どのように学習していけばいいか?

    これについては、今一度日本語と英語の語順の違いや特徴を踏まえた上で、練習を進めていくことが大切です。

    日本語と違い、英語は「結論」を言い切る → 「補足説明」が右に追加されていく

    という特徴があります。

    それを踏まえ「日本語のうまい扱い方」をマスターし、もう日本語に惑わされず練習をできるようになって行きましょう。

    またこの「結論」→「補足説明」の語順処理に慣れることが、スピーキング中、複数の節(SV〜)が連続するような長い文でも「楽に」口にできるための鍵だったりします。その辺りも解説していますので、以下でぜひご覧になってみてください。

    ⑩:難しくてスラスラできない

    どのように学習していけばいいか?

    「瞬間」英作文しないといけないのに、なかなか難しくてスムーズにできない、という問題ですね。

    スラスラできないときに考えられる原因は、大きく以下の3つの可能性が考えられます。

  • 原因その1:文法知識の定着が不十分
  • 原因その2:瞬間英作文に取り組む際の頭への負荷が高すぎる
  • 原因その3:逐語訳をしてしまっている
  • どのように学習していけばいいか?

    原因その1については、「⑥:テキストに解説が少ない」でも見たように、文法知識をインプットすることがやるべきことになります。

    また原因その3については、「逐語訳」だとやはり遅くなってしまいますので、「②:スピーキングで日本語から考える癖がつく」の解決法も参考にしながら練習するようにしましょう。

    原因その2についてですが、自分の脳の処理力に対して負荷がをかけ過ぎると、スムーズにできない原因になります。

    対策は「負荷を下げる諸々の工夫する」ということになります。

    テキストのレベルを考え直す、進む進度をマネジメントするなど、自分でできる諸々の工夫をしていき、練習をうまくコントロールできる「manageble」な状態を作ることが重要です。

    以下では、どのようなやり方が考えられるか具体例も挙げていますので、ぜひ参考ください。

    まとめ


    以上「瞬間英作文の欠点10個まとめ & 解決策」でした。

    上記で見てきたように、瞬間英作文で鍛えられるスキルは確かにある、ただスピーキングに必要な全てのスキルをカバーは難しい、というのがある種の結論です。

    ただその正しい理解を持った上で、

    • 今の瞬間英作文のやり方どのように修正するべきか
    • 瞬間英作文自体を離れ、次のステップに移った方がいいのか
    • それとも瞬間英作文よりも先に他のことに取り組むべきか

    等々、考えていくことが大切です。
    少しでもその参考になれば幸いです。

    おわり


    ーーー
    【参考文献】
    Levelt, W. J. M. 1989. Speaking: from intention to articulation. Massachusetts: MIT Press.

    門田修平. 2012. 『シャドーイング・音読と英語習得の科学』 東京:コスモピア.

    白井恭弘. 2012. 『英語教師のための第二言語習得論入門』 東京:大修館書店.